アフターストーリー〜ガイ・アラシ編〜

〜ガンダムファイト終了から数週間後…ネオ広島・鯉口組屋敷〜

キョウシロウ(サイキョウ)「ひぇえ…こ、これモノホンの極道の屋敷じゃねーっスか!カムイさん、マジで行くんスか?」
カムイ(シャクシャイン)「……マツノウチさんから重大な話があるとのことだ…。…行かないわけにはいくまい……」
ミロク(ニョライ)「でもちょっと不安やわ…。まさか私らを舎弟に迎え入れようとかそういうんじゃないやろか…?」
キョウシロウ「心配いらねーっスよ、ミロクさん!貴女は必ずお守りするっス!………主にカムイさんが…」
マコト(ベイスター)「他人任せかよ!!お前、一応全国ナンバー4だぞ!自覚あんのか?」
キョウシロウ「逃げ足の速さなら全国ナンバー1の自信があるぜ?」
マブイ(シーサー)「情けねえヤツ…。ま、変なことになりゃあ全員ブチのめして退散するだけだ」
カキョウ(カブキ)「わっはっはっは!そう構えなさんな、マブイ!この道の連中は案外礼儀を弁えてるもんだ!」

組員「お待たせしました、お客人。奥で若頭とスルガ殿がお待ちです。どうぞ、お通りください」

カムイ「………行くか………」
キョウシロウ「…そういや今日親父の法事だったんだ!残念っスけど失礼しまーっス!」
カムイ「……行くぞ……」 ズルズル…
キョウシロウ「ひぃいい!!仁義無き戦いだけはいやあああああ!!」

マブイ「さあて、鬼が出るか蛇が出るか…。ヘッ、楽しみだぜ」
カキョウ「やれやれ…こういう手合いは後々面倒なんだがねぇ…。こいつの手綱はしっかり握っとかねぇとな」

ミロク「一応、今のうちに念仏唱えときましょか?」
マコト「ミ…ミロクさん、物騒なことを言うのはやめてくれ。テツさんはそんな人じゃないさ………多分…」

〜鯉口組屋敷・奥間〜

テツ(メイプル)「よくぞ来なすった。堅苦しい思いをしとるじゃろうが楽にしてくれ」
スルガ(ギョクロ)「お嬢、申し訳ないが人数分お茶を淹れてくれないかい?」
お嬢「はい、ちょっとお待ちを」

キョウシロウ「すげー…掛け軸に任侠って書いてある。しかも高価そうな壷まで…映画の通りだ…」
マコト「お、ありゃあ本物のジャパニーズソード…日本刀だな。グレイト…本格的だぜ…!」
ミロク「あの…お二人方、恥ずかしいからあまりキョロキョロしないでくれます?」
カキョウ「わっはっはっは!まだまだ青いねぇ!…して、テツさん、スルガさん、俺たちに話したいこととは?」
テツ「おう、それじゃ。大会の閉会式の時、キムの阿呆がマスターデーモンガンダムで暴れたのは覚えておるのう?」
カムイ「…ああ…」
マブイ「結局、あの馬鹿デケェ化け物ガンダムは粉々に吹き飛んだがな…あれじゃあキムの野郎も生きてはいまい…」
スルガ「そう…死体こそは確認できなかったがいくらDG細胞で強化していたところであれで生き残るのは不可能だろうな…」
キョウシロウ「じゃ、万事OKじゃねースか。日本は今度こそ平和になって万々歳!天下泰平順風満帆!」
テツ「…といきたいのは山々なんじゃが…権力者は保険を持ちたがるのが世の常じゃけえ。ワシらはあの後も色々探りを入れとったんじゃ」
ミロク「では、私らがここに呼ばれたってことを考えると…出て来たんやね?厄介な代物が…」
スルガ「ああ…全国各地にCAO傘下の偽装された研究施設…今も動き続けてるデーモンガンダムの量産プロジェクトってやつさ」
マコト「なんだとッ!?」
カムイ「……厄介な……」
カキョウ「やれやれ…散っても外道の種を残すたぁ粋じゃないねえ…」
テツ「そこでじゃ、決勝リーグに進出したお前さんらの力を借りたくてここに呼んだわけじゃ」
マブイ「当たり前だろ?あんな厄介なモンはとっととブッ壊してやる!」
スルガ「…他の面子もそれでいいのかい?それぞれ生活があるし迷惑かけるってのは重々承知なんだがね…」
カムイ「………当然………」
マコト「早いトコ平和な世の中になってくれねぇと野球どころじゃねぇしな!」
キョウシロウ「じゃ、俺はパス…」
ミロク「キョウシロウ君、こういうところで頑張る男の子って私格好良いと思うわぁ…」
キョウシロウ「勿論バリバリやるっス!!オラオラ、どっからでもかかってこいや!!」
カキョウ「満場一致ってやつだ。…ところで、お前さんはどうするんだい?」

ガイ(サンドヒル)「フン…」

キョウシロウ「い、いたのかよ…全然気付かなかった…」
カムイ「……不覚…、…背後を取られるとは……」
テツ「一時的に連中と組んでおったおんしの力は絶対に必要じゃ。ワシらにはまだ情報が不足しとる」
ガイ「デーモンガンダムをぶち壊すってのは賛成だ…あのゲテモノのツラも見飽きた…」
スルガ「おお、では…」
ガイ「だが、てめぇらと手を組むかどうかは話が別だ。俺は俺のやり方でやらせてもらう」
マコト「なんだと!?」
ミロク「いくらサンドヒルが強いとは言え、あのデーモンガンダムにたった一機で敵うとは思えへんけど…」
ガイ「はっきり言ってやろうか?てめぇらは足手まといなんだよ。てめぇらはせいぜい仲良しこよしで戦ってるんだな」
マブイ「野郎!言わせておけば!!」
カキョウ「よせ、マブイ。…お前さんが敵に回らねぇってことは承知した。こっちはそれだけで十分だ」
ガイ「フン…おい、地図をよこしな。こんな所で話してる時間が無駄だ」
テツ「言われて易々と渡すと思うてか?渡世はそんなに甘いもんじゃねぇぞ。それなりのオトシマエってモンをつけさせてもらわねぇとな…」
スルガ「テツ、ここで争っても一文の得にもなりゃあしないよ。…ほら、アラシの旦那…これが連中の研究施設を記した地図だ…」
ガイ「ちょっとは賢い奴がいるみてぇだな。じゃ、あばよ…」

シュン

キョウシロウ「ふぅ…極道の屋敷でドンパチが始まるかと思って冷や汗かいたぜ…」
マコト「とことんチームワークを乱す奴だな…。ま、ここで素直に組まれてもちょっと不気味だったんだが…」
カムイ「……大丈夫なのか?……あんな男に地図を渡して……」
スルガ「あれでも心根は真っ直ぐなファイターだ。信じるしかあるめぇよ」
カキョウ「ふむ…ちょっと出てくるかね…」
マブイ「マエダ、どこへ?」
カキョウ「ちょっと外の空気を吸ってくる。すぐ戻るさ」

ガイ「…中国山地か…灯台下暗しだな。いくぞ、サンドヒル…」
カキョウ「どこまでも孤高に戦うか…武運を祈ってるぜ、ガイ・アラシよ」
ガイ「てめぇか…。安心しな、てめぇらがグダグダ馴れ合ってる内に俺が全部叩き潰してるだろうよ」
カキョウ「わっはっはっは!頼もしい限りだ!それが全く過信にならないってところがお前さんの凄いところよ」
ガイ「フン…くだらん…」
カキョウ「戦いもいいが…せっかく全国を廻るんなら旅を楽しんでみなよ!きっと悪いことにはならんぜ!」
ガイ「あ?何言ってやがる」
カキョウ「旅ってのはいいもんだ…己の見知らぬ地で人が一生懸命生きてるのが見える。そこから学ぶことも多くある」
ガイ「ケッ…所詮は他人事だろ。興味ねぇな…ガンダムサンドヒル、起動…」

ヴンッ

カキョウ「いずれ分かるさ。じゃ、達者でな」
ガイ「ハッ、言われるまでもねぇ…。潜るぞ!」

ズゴゴゴゴゴゴ…

カキョウ「行ったか…。さて、そろそろ俺も戻るとするかね…」



*******

県間戦争は終結したが、その戦火が生んだ傷跡は全国各地に数多く残っている
未だに活動している反政府ゲリラ、強化人間製造のための人体実験施設、そして事情により地図から消された集落…
主に戦場跡などで暮らし、政府の保護を受けずひっそりと生きる人々は日本の人口として数えられず、県間戦争で死んだものとされている
その集落はガイ・アラシとガンダムサンドヒルが訪れた中国山地の奥深くにも存在していた

ガイ「(研究施設を調べたが既に廃墟化…。おそらくデーモンガンダムの自律回路の暴走で破壊されたんだろう)」
ガイ「(だが、新しい破壊痕だった。まだこの辺に巣食って自己進化のためのエネルギーを蓄えているはずだ…)」
ガイ「(この集落の奴らに情報を聞いて回るしかねぇか…。あんな馬鹿デケェMFだ。姿ぐらいは見られてるだろ…)」
ガイ「ったく、面倒くせぇ…。………あァ?」

ゴロツキ1「おうおう、お嬢ちゃん!美味そうな食べ物持ってるじゃねぇか!」
ゴロツキ2「俺たち腹減ってるんだよ!その袋、ここに置いていきな!」
女の子「だっ、駄目だよ!これは怪我した人たちの食糧なんだから!キミたちは元気なんだからちゃんと働くべきだよ!」
ゴロツキ1「ああん?口答えするってのか!?」
ゴロツキ2「生意気な女だぜ!お仕置きしてやろう!」

ガイ「チッ…ゴミはどこにでも沸いてやがる…。邪魔だ、そこをどきやがれ」
ゴロツキ1「な、なんだと!?テンメェ〜、ヒーロー気取りかよ!?」
ゴロツキ2「人生そう上手くはいかねぇんだよ!渡世の厳しさを教えてやらぁ!!」

ドガッ! バキッ! ゴスッ! ドゴォッ!

ゴロツキ1「ぐええ…!つ…強すぎる…!化け物か!?」
ゴロツキ2「どどどどどうか命だけはお助けをぉぉぉ!!」
ガイ「うざってぇ…死ねよ。目障りだ…」
ゴロツキ1&2「ひいいいいいいいいいい!!」
女の子「ストップ!ストップ!ストーーーーーップ!!」 バシッ!
ガイ「ッ…!…女ァ、殺されてぇのか!?」

女の子「駄目だよ、キミ!殺すなんて物騒なこと言っちゃ!そんなんじゃ友達できないよ!」
ガイ「はぁ?」
女の子「でも助けてくれてありがとね!もっと愛想よくしたらヒーローになれるよ、きっと!」
ガイ「(この女…頭イカレてんのか…?)」

女の子「あとキミたち!今ので怪我したみたいだから診療所においでよ!」
ゴロツキ1「へ…?いいんですか…?」
ゴロツキ2「お、俺たちあんたをカツアゲしようとしたのに…」
女の子「これに懲りたらもうあんなことしちゃ駄目だよ?怪我人を治すのがボクの仕事だからね!」
ゴロツキ1「な…なんて優しいお嬢ちゃんなんだ…」
ゴロツキ2「うう…はぐれ者として居場所のなかった俺たちがこんな辺境で人情に触れるとは…」
女の子「ほらほら、男の子なんだから泣かない泣かない!さ、立って!」

ガイ「…おい、イカレ女…てめぇ、どういうつもりだ」
女の子「ふぇ?イカレ女…ってボクのこと?失礼な!ボクにはちゃんとミドリって名前があるんだからねっ!」
ガイ「んなこたぁどうでもいい。そいつらは俺の獲物だ。何勝手に話纏めてるんだよ」
ミドリ「どうでもよくないよ!名前は大事なんだからね!?こっちが名乗ったんだからキミも名前教えてよっ!」
ガイ「おい!聞いてんのか!?」
ミドリ「名前の知らない人の話なんか聞かないよー!」
ガイ「チッ…、…ガイ・アラシだ。これで満足か?」
ミドリ「ガイ君だね?うん、いい名前だと思うよ!今日はありがとう!しばらくここに滞在する気ならボクの診療所にも寄ってね!」
ガイ「待ちやがれ!俺が言いてぇのはそんなことじゃねえ!………チッ、行っちまいやがった。何なんだ、あのイカレ女は…」

ガイ「しかし…やけに怪我人が多い集落だな…。ビンゴってやつか…」
ガイ「待ってろよ、デーモンガンダム…俺が叩き潰してやる…」

老人「よく知っとるのう、旅人さん。最近ドデカいガンダムが度々出現してはこの辺りの集落を襲って人を喰っとるんじゃよ」
ガイ「やはりか…。ジジイ、そのガンダムはどこに居やがる?」
老人「それがよく分からんのじゃ…。かろうじて生き残った者の証言では暴れ回った後に地中深くに潜っていったとか…」
ガイ「チッ…居場所が分からねぇ以上、後手に回るしかねぇってことか…」
老人「旅人さん、あんたまさかあの怪物ガンダムとやりあう気かい?止めておいた方がいい、奴に刃向かったMF乗りは全員喰われちまった」
ガイ「なら、あんたらはどうする気だ?県間戦争時代のように蹲って災いが過ぎ去るのを待つだけかよ?」
老人「そうするしかなかろう…。ワシらにはそうすることしかできんのじゃよ…」
ガイ「ハッ!負け犬っぷりが板についてるぜ!てめぇらはずっと蹲って震えてな!俺は違う!立ち塞がるヤツは誰であろうと叩き潰してやるぜ!」
老人「ワシも昔はそうだった…。だがな…」

ミドリ「たっだいまぁ!お爺ちゃん、今からご飯作るからちょっと待っててね! …あれ?」
ガイ「チッ…イカレ女の家だったのかよ…。うざってぇ…」
ミドリ「ミドリだよ、ガイ君!キミは失礼な人だね!」
老人「おお、ミドリや。この旅人さんと知り合いなのかい?丁度いい、旅人さん…しばらく滞在するならこの家を使いなさい」
ガイ「お断りだ。この女と同じ屋根の下で居たらこっちまでイカレちまうぜ」
ミドリ「ひっどいなぁ!言っとくけどこの集落に宿屋なんてないんだからね!他に泊まるところなんてないよ!」
老人「ふふ…この家には丁度空いている部屋もあるのでそこを使いなされ…。人の好意は素直に受け取っておくもんじゃよ」
ガイ「クソッ…なんてシケた村だ。ヤツを叩き潰したらとっとと出てってやる」
ミドリ「はいはい!ご飯にするからちゃんと手を洗ってきなよ!ばい菌は怖いんだからね!」
ガイ「うるせぇ!俺に指図するんじゃねぇ!」

〜そして…〜

ミドリ「どう?美味しかった、ガイ君?」
ガイ「不味くて食えたもんじゃねーや」
老人「はっはっは、三杯もおかわりしたくせによく言うわい」
ガイ「ケッ…」
ミドリ「もー、素直じゃないなぁ。キミ、本当は優しいんだから素直になったら友達も沢山できると思うのに…」
ガイ「友達だぁ? イカレ女、いいことを教えてやる。この世の中な、信じられるのは自分だけなんだよ」

ガイ「例えば今日てめぇはチンピラ二人を助けてやったよな?あれに何の意味があるんだよ?」
ガイ「ゴミはゴミだ。改心したように見えてああいう手合いはまた同じことをするに決まってるんだよ」
ガイ「で、またてめぇのような無力なヤツらが餌食にされるんだ。殺しときゃ未然に防がれたのにな」
ミドリ「そんなことないよ!あの二人、根はとってもいい人だったよ!?きっとちょっと魔が差しただけだよ!」
ガイ「その根拠がどこにある?てめぇの前でそれを演じてるだけだろ。まともに受け取るほうが馬鹿ってもんだ」
ミドリ「ば…馬鹿じゃないよ!人が人を信じなくてどうするって言うのさ!どうしてキミはそんなこと言うんだい!?」
ガイ「別に。ただ、昔…人の本性ってのを見ちまっただけさ…。今じゃ感謝してるぜ…真理に気付いたんだからよ…」
ミドリ「かわいそうに…。キミは恐れてるんだね…」
ガイ「あァ!?何にビビってるってんだ?」
ミドリ「失うことを…だよ。失うのが怖いから得ようとしない。信じようとしない。ボクにはそう見える…」
ガイ「てめぇ…殺されてぇのか…?」
ミドリ「そうやって何もかも壊していけば失うことはないよね。でもさ、得るものだって何もないんだよ?」
ミドリ「思い出してよ!人と人が助け合うって素晴らしいことなんだよ!キミだって知ってるはずだよ!」
ガイ「…チッ…救いようのねぇ馬鹿だな、てめぇは…。脳ミソに花でも咲いてるんじゃねぇのか…?」
ミドリ「ガイ君!!」
老人「そこまでじゃ、ミドリ…。旅人さん、今日はもう遅い…休みなされ…」
ガイ「ああ、そうさせてもらう…」
老人「…ワシらでは力になれんかも知れんが…その心の傷、癒してゆきなされ…」
ガイ「うざってぇ…負け犬が知った風な口を利いてるんじゃねぇよ」

〜深夜〜

グォォォォォォォォン…!

ガイ「!?」

村人1「で、出たぞーーーッ!!化物ガンダムだぁーーーッ!!」
村人2「女子供は地下に避難しろーーーッ!!怪我人も優先だーーーッ!!」

ガイ「ふん…来やがったか!!ガンダムサンドヒル、来い!!」

デーモンガンダム「グォォォォォ…!」

キュィィィィン…

村人1「ひっ!ビームが来るぞぉぉぉ!!」
村人2「逃げろぉぉぉぉ!!」

デーモンガンダム「グゴォォォォォォォォッ!!」

ガイ「ノロくせぇ…くたばれ、デカブツ!」

ズガァッ!!

村人1「あ…あれ…?発射されない…?」
村人2「み、見ろ!ガンダムだ!!ガンダムがもう一機!!」

デーモンガンダム「グォォォォォ…」
ガイ「チッ、デカいだけあって頑丈だな。だが関係ねぇ…すぐに砂粒にしてやるよ!!」
デーモンガンダム「グォォォォォォン!!」

ドガガガガガ…!

老人「あ、あれは旅人さん…!そうか、ガンダムファイターじゃったのか…!しかし…」
ミドリ「お爺ちゃん!お爺ちゃんも早く避難しないと!………あっ…!」
老人「ミ、ミドリ!どこへ行くんじゃ!そっちは危ないぞ!」
ミドリ「赤ちゃんが逃げ遅れてる!ちょっと助けてくるよ!」
老人「い…いかん!戻れ、ミドリ!!ミドリーーーーーッ!!」

デーモンガンダム「ガゴォォォォ…」
ガイ「クソッ!自己修復か!相当エネルギーを蓄えてやがる…厄介だな!」
デーモンガンダム「ゴォォォォ…」
ガイ「あァ?余所見?何だか分からんが隙だらけだ!死ねッ!!」

赤ん坊「オギャア!オギャア!」
ミドリ「ほーら、もう大丈夫だよー。ボクが安全な所まで連れて行ってあげるからねー」

ドォン!

ミドリ「おわっとと!こ、ここは危ないや!急がないと…! ひっ…!」
デーモンガンダム「グォォォォォォォ…」
ミドリ「こ…こっちを…見てる…?」
ガイ「なっ…!?ちぃっ、何やってやがる!あのバカ女ァッ!!」

キュィィィィン…

ミドリ「わあああーーーっ!!」
ガイ「クソがッ!!…サンドヒルッ!!」
デーモンガンダム「グゴォォォォォォォォッ!!」

ズドォォォォォンッ!!

ミドリ「う…う…、あ…あれ?なんともない…?」
ガイ「破損率75%突破…。チッ、どうしてくれんだバカ女。てめぇのせいで俺の体もサンドヒルもボロボロだ…」
ミドリ「ガ、ガイ君…!庇ってくれたの!?」
ガイ「何が助け合いだ…ただの足の引っ張り合いじゃねぇか…。俺としたことがまんまと騙されちまったぜ…」
ミドリ「ご…ごめんなさい…」
ガイ「ヘッ、謝る必要はねぇよ…。どうせ俺もてめぇもここで死ぬ…ようやく俺も地獄に逝く時が来たか…」

デーモンガンダム「ゴォォォォォッ!」
ガイ「くっ…!」
ミドリ「ううっ…!」

ゴロツキ1「うおおおおっ!!くらいやがれ、メガトンズゴックパンチ!!」
ゴロツキ2「どりゃあああっ!!ぶちかませ、ハイパーゲルググキック!!」

ドドガァッ!!

デーモンガンダム「グゴォォッ!!」
ガイ「な…に…?ズゴックタイプとゲルググタイプ…?」
ゴロツキ1「一度は捨てたこの命!恩人を守るためなら今一度投げ捨てても惜しくはねえ!!」
ゴロツキ2「借りはノシつけてきっちり返す!!俺たちがこいつの動きを止める!!」
ミドリ「ふ…二人ともっ!!」
ガイ「じょ、冗談かよ…。このタイミングで…」
ゴロツキ1&2「やれええええええッ!!ドリルーーーーーッ!!」

ガイ「(チッ…なんだよ、この気持ちは…。精神が肉体を突き動かすようなこの感覚…)」
ガイ「いくぜ…サンドヒル!…まだ動いてくれよ…!」
サンドヒル「―――――キィン―――――」

ガイ「うおおおおおおおッ!!ブチ抜けええええええええッ!!」
デーモンガンダム「グゴォォォォォォォォッ!!」

〜翌日・集落の診療所〜

ガイ「コアを完全に破壊できず、デーモンガンダムはまた地中に潜って逃げやがった…不覚をとったぜ…」
ガイ「だが、また戦えるくらいまでに再生するには大分時間がかかるだろうな…。次こそは仕留めてやる…」
ガイ「…その前に、俺の体とサンドヒルを修復するのが先か…。やれやれ、あのジジイが元MF整備師だったのが怪我の功名だな…」

ミドリ「ほらほら!ブツブツ言ってちゃ治る怪我も治らないよ!元気出して!」 パシッ
ガイ「ぐッ…!て、てめえ…誰のせいでこんな怪我をしたと思ってやがる!」
ミドリ「うん、だからお礼なら何度でも言うよ!守ってくれてありがとうございます。ガイ君はとっても優しい人です」
ガイ「あァ!?だから何勘違いしてやがる!俺は別に…」

ゴロツキ1「ドリルの親分!二十世紀梨を差し入れに持って来やしたぁ!!」
ゴロツキ2「ちなみにきっちり働いた分ですぜ!たっぷり食って怪我を治してくだせえ!!」
ガイ「はぁ!?誰が親分だ!俺はてめぇらを子分にした覚えはねぇ!殺すぞ!!」
ミドリ「コラ!殺すなんて軽々しく言っちゃ駄目だって!動ける体でもないくせに!」
ゴロツキ1「例え断られても俺たち、あの化け物を貫いた親分のドリルに惚れやした!勝手に親分と仰がせていただきやす!」
ゴロツキ2「俺たちの機体にも爺さんがドリルつけてくれるって言ってやした!親分、背中は俺たちに任せてくだせぇ!」
ガイ「冗談じゃねぇ。誰がてめぇらなんぞ信用するか。デーモンガンダムは俺一人で倒す!」
ミドリ「信じなくてもいいよ。ボクたちが勝手にガイ君を信じるだけだもんねー!」
ゴロツキ1「へい!ミドリさんのおっしゃる通りで!」
ゴロツキ2「勝手に子分になって、勝手についていかせてもらいやす!」

ガイ「クソが…!なんだってんだ、このバカどもは…!」
ミドリ「えへへ…よろしくね!ガイ親分!」


*******


カキョウ「お…荒野に一厘の花が咲いてらぁ…。綺麗だねぇ…」




―さらにアフター―

ミカン「サンドヒルには気をつけろ。ああ見えてヤツはド変態だからな」
ミドリ「ええっ!そうなの!?」
ミカン「ああ、間違いない、あの時俺は確かに見・・・グハッ!!」ブシュ
ガイ「いい加減にしろ。」
ミカン「またしてもやられた・・・不覚」ガクッ
ミドリ「ミカンさあああん!?」
ガイ「ほうっておけ。どうせこいつはギャグ担当だからすぐに復活する。」

 

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