アフターストーリー〜関東地方編〜

 

パタン…

マコト(ベイスター)「先生!あいつの容態は!?」
キト(メディカル)「心配いりませんよ。軽い脳震盪です」
アスカ(ネオ神奈川サポーター)「ああ、良かった…。安心しましたね、キョウコちゃん」
キョウコ(ネオ埼玉サポーター)「はい…まさかあんなことになっちゃうなんて…」


〜一時間ほど前…ネオ横浜スタジアム〜

実況『さぁ、日米親善野球大会決勝!九回裏二死満塁の日本チーム最後の打者は…まさかの一時復活したあの男!!』
実況『元星屑ベイスターズ!大リーグでも活躍した大魔神!マコト・ササキ!!』

ウオオオオオオオオオオオオオオオオッ!!!

マコト「絶対に…打つ!!」
アメリカ側投手「大魔神だか何だか知らないが、ピッチャーのバッティングなんてたかが知れてる!」

キョウシロウ(サイキョウ)「うおー!マコトさん、ここで一発逆転だぜー!!」
キョウコ「ちょっとお兄ちゃん!アスカさんはお腹に赤ちゃんいるのよ!静かにして!」
アスカ「ふふ…いいんですよ。なんだかお腹の子も興奮しているような気がします」

カキィィィィィン!!

実況『打ったああああああ!!高い!高い!!伸びる伸びる!!そのまま観客席に一直線んんんんーーーッ!!』

キョウシロウ「いよっしゃあッ!!これで一発逆転―――…あれ?」
キョウコ「なんだか…こっちに向かって飛んできているような…」
アスカ「キョウシロウさん!避けてください!」
キョウシロウ「へっ…?」

すこーーーーん!

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

マコト「まさかホームランボールが脳天直撃するとはな…。アンビリーバボーだ」
キト「彼は本当に超幸運なのか超不幸なのか良くわからない運の持ち主ですね」
アスカ「それで、瘤のひとつもできてなかったんですよね?」
キョウコ「お兄ちゃんってすっごい石頭だから…。中身はスカスカだけど…」

ガチャ

キョウシロウ「おい、なんてこと言うんだよキョウコ。まるで俺がバカみてぇじゃねーか」
キト「あ、目が覚めたようですね。ハハハ…記憶の方も無事で何よりです」
マコト「ソーリー、キョウシロウ。まさかあんなことになっちまうとは…」
キョウシロウ「いやいや、マコトさんが謝る必要ねぇっスよ!むしろ一発逆転してくれてスッキリしたっス!」
キョウコ「そうそう!悪いのはガンダムファイターなのに簡単に直撃しちゃったお兄ちゃんなんだから!」
キョウシロウ「て…手厳しいなぁ、キョウコさん…」
アスカ「ふふふ…それでもキョウコちゃん、さっきはすっごく心配してたんですよ?」
キョウコ「ア…アスカさん!それは言っちゃダメって言ったのに…!」
マコト「まったく、いつまでもこんな可愛い妹を心配させてるんじゃねーよ!このこの!」
キョウシロウ「痛ててて!ぶ、無事ってわかったら遠慮なしっスか!相変わらずっスね!」

キト「それにしても、偶然私が関東の病院で出張診察している時に限ってキョウシロウ君が運ばれてくるとは…」
キョウコ「あ…そういえばそうですね。キト先生、出張診察だからこの病院にいたんですか」
キト「ええ、人手が足りないらしくて…。昔この病院で医術を勉強していた頃もありましたから…その関係ですよ」
アスカ「そうなんですか。あちこち引っ張り凧で大変ですね。…それでは、この病院にお知り合いも?」
キト「はい、勿論…。あまり良い間柄とは言えないんですが…」
マコト「あんたでも仲の悪い人がいるんだな。驚きだぜ」
キト「いえ…私は彼が嫌いではないのですが、どうにも私は敵視されているようでしてね…」
キョウコ「なんだか分かる気がします。キト先生って完璧すぎるから嫉妬されちゃってもおかしくないですよ」
アスカ「医術の腕は一流。ルックスも格好いいし、何より性格が良い…理想の男性像にピッタリ合致してますからね」
キト「ハハハ…お褒めに預かり光栄です」
マコト「ちぇっ、俺もなんだかそいつの気持ちが分かる気がするぜ。―――…それより、キョウシロウはどこいった?」
アスカ「あれ?そう言えばいつの間にかいないわ。どこに行ったのでしょう?」
キョウコ「また勝手にフラフラして!バカな真似してなきゃいいんだけど…」

〜関東総合病院・中庭〜

キョウシロウ「よし、この辺りだな。確かデータの統計によるとこういう所で病弱な少女と遭遇しやすい、と」
キョウシロウ「ひょんなことから仲良くなる俺たち!しかし少女はもう先が長くない体!僅かに芽生える淡い恋心!」
キョウシロウ「最終的には俺が頑張って少女が奇跡の復活!ロマンチックな大恋愛の末に俺たちは―――」

???「あの…」

キョウシロウ「子供は三人ぐらいほしいな。女二人、男一人。俺は働かなくてもそれなりに儲けられる仕事で…」

???「あのー…すみません…」

キョウシロウ「そんなに裕福じゃないけど幸せな五人家族の生活!アメリカのホームドラマみたいな愉快な日常!」

???「すみません!聞いて貰えませんか!?」

キョウシロウ「なんだよ、さっきから!俺のイメトレ(妄想)を邪魔するんじゃねーぜッ!」
車椅子の少年「イ…イメトレだったんですか? ごめんなさい…。でも、どうしても聞いておきたくて…」
キョウシロウ「なんでぇ…声かけてきたのは男の子かよ…。何だね?さっさと言いたまえ」
車椅子の少年「あの…ネオ埼玉のガンダムファイターのキョウシロウ・サイトウさんですよね?」
キョウシロウ「そうだよ、それがどーかしたのか?」
車椅子の少年「わあっ!ま…まさか本当にキョウシロウさんだなんて…夢みたいだ!」

車椅子の少年「あ、あの…僕はこの病院に入院しているコウタっていいます!キョウシロウさんの大ファンなんです!」

キョウシロウ「ファン?俺の? ―――まっさかぁ〜!何かのドッキリだろ?俺は騙されねぇぞー!」
コウタ「う、嘘じゃありません!地方予選からずっとファンだったんです!あの…サインをいただけませんか!?」
キョウシロウ「…マジ…? ―――くう…!週刊ガンダムファイトでもネタにされ続け、笑いものにされ続けた俺に…まさか本当にファンがいたなんて…!」
コウタ「僕…あなたのファイトが大好きなんです!いつか僕もガンダムファイターになりたいと思ってます!」
キョウシロウ「うおおう!嬉しいこと言ってくれるじゃねぇかコンチキショーめ!サインなんていくらでも書いてやるぜ!!」
 

〜そして…〜

キョウシロウ「ふーん…生まれつき足が弱いのか…。そいつは苦労してんなぁ…」
コウタ「はい…こんなに辛い思いをするなら死んだ方がマシだ、ってずっと思ってたんです…」
キョウシロウ「そうかい…俺にゃその気持ちはわからねーが、辛かったんだな…」
コウタ「でも、そんな時にガンダムファイトが始まって…キョウシロウさんのことを知りました」
コウタ「普段は情けないけど…最後にはどんな相手にも立ち向かって、何度でも立ち上がって勝利を掴み取る勇気のファイト…」
コウタ「それで決勝リーグのカブキガンダムとの試合を見た時…決心したんです。僕もガンダムファイターになろう、って!」
コウタ「だから僕、今度手術を受けて絶対に退院します!…もし、いつか僕がガンダムファイターになれたら…」
キョウシロウ「へへっ、俺と戦ってみてえってか?」
コウタ「はいっ!お願いします!」
キョウシロウ「その真っ直ぐな意志…どうにも、俺ってばそういうのに弱いんだよねぇ…。断る理由もねぇしな!」
コウタ「それじゃあ…!」
キョウシロウ「…っと、その前にコウタ。お前は足を治すことに専念しな。これから手術があるんだろう?」

チャラッ

キョウシロウ「このメダル、貸してやるよ。今まで肌身離さず持ってた…俺のお守りだ」
コウタ「え?そんな…。そんなものを受け取るわけには…」
キョウシロウ「バーカ、何を勘違いしてんだよ。あくまで貸しだ!レンタルだ!退院したら返しに来い!お前自身の足でな!」
コウタ「キョウシロウさん…ありがとうございます!」
キョウシロウ「礼を言うなら手術が成功した後だ。気合入れろよ、コウタ!」
コウタ「はいっ!!」


カツカツカツ…

白衣の男「何をしているのだね、コウタ君。外出の許可を出した覚えはないのだが…」
コウタ「あ…ご、ごめんなさい先生…」
キョウシロウ「(うわ、コウタの主治医か…。俺の苦手なタイプ…)」
白衣の男「君はただでさえ体力がないんだ。足を治したければ私の言うことを聞きたまえ」
コウタ「は…はい…」
白衣の男「まったく…このような不衛生極まりない男と関わり合いになっているとは…」
キョウシロウ「ちょっ…不衛生って俺のことスか!?そりゃあ聞き捨てならねぇぞ!!」
白衣の男「違うかね?ネオ埼玉のガンダムファイター、キョウシロウ・サイトウ…」
キョウシロウ「お、俺のことを知っているのか?」
白衣の男「ああ、よく知っている。随分と無様な戦いをする関東の恥さらし…としてね」
キョウシロウ「何ィ!?」
コウタ「せ、先生!!」
白衣の男「君は黙っていたまえ。―――とにかく私の患者に妙なことを吹き込むのはやめてもらいたいものだ」
キョウシロウ「何だよ!その言い方は!その辺りは医者だの患者だの関係ねぇだろうが!」

キョウコ「こらぁ!お兄ちゃん!!」

タタタタタ…

キョウコ「また騒ぎを起こして!お医者様相手に何やってるのよ!!」
キョウシロウ「い、いやキョウコ…これには訳があって…」

キト「シキ・クロダ…。あなただったんですか…」
白衣の男「キト・シラカワか…。ふん、わざわざ関東に出張とは余裕のあることだ…」
キト「残念なことに休まる暇もありませんよ」
シキ「さすがは富山の天才医師…その手腕は全国で必要とされているか…。だが、それもすぐに終わるだろう」
キト「…どういうことです?」
シキ「貴様が医術界でナンバーワンの時代はもう終わりだ、と言っている。次の手術で、私こそが日本で一番の医師となる」
シキ「せいぜいそれまで砂上のナンバーワンを誇っていることだな!…帰るぞ、コウタ君」
コウタ「は…はい…、…それじゃあキョウシロウさん…失礼します…」

カツカツカツカツ…  キコキコキコキコ…

キョウシロウ「チッ!なんなんだよ、あの野郎は!マジで医者か!?」
キョウコ「ナンバーワンがどうとか言ってたけど…」
キト「彼はシキ・クロダ…私の兄弟子ですよ…。彼も決して悪い医師ではないのですが…」
マコト「傍から見てりゃ患者を道具同然にしか思ってない典型的な悪いタイプのインテリだったが?」
アスカ「ですね…。少し冷たい感じがしました…」
キト「“医は仁術なり”…先生が常日頃口にしていた言葉を…彼はまだ理解できていない…」
キト「彼がああなってしまったのは私のせいでもあるんです。弟弟子である私が、先に師に認められてしまったので…」
マコト「ジェラシーから更なる実績を求め始めた…手段を選ばずに…。よくある話だ」
キョウシロウ「その気持ち、分からないでもねーけどさ…患者にしてみりゃ溜まったもんじゃないぜ」
キョウコ「お兄ちゃん、あの車椅子の男の子と知り合いなの?」
キョウシロウ「ああ、将来ガンダムファイターになりたいんだってよ。絶対、退院してほしいよな」
アスカ「心配は要りませんよ、キョウシロウさん。いざとなればキト先生が何とかしてくれます」
マコト「そうそう!なんたってナンバーワンのドクターだ!不可能はないぜ!」
キト「フフ…ちょっとしたプレッシャーですが、善処しましょう」
キト「(しかし、あの患者の少年…見た限り先天性の脚部疾患のようでしたが、確かあのケースは手術は必要としないはず…)」
キト「(本来長い年月をかけて治療するものを…一体シキはどのようにして手術治療するのでしょう?)」
キト「…どうにも、嫌な予感がしますね…」



〜数日後…関東総合病院・手術室〜

シキ「さて、コウタ君…この手術で君の足は完治するだろう。もう車椅子に乗る必要も、ベッドの上で過ごす必要もない」
コウタ「ほ…本当ですか?」
シキ「ああ、私を信じたまえ。君のなりたかったガンダムファイターにもすぐなれるだろうさ」
コウタ「僕が…ガンダムファイターに…」
シキ「では、手術を開始する。麻酔をかけるよ」
コウタ「はい…!」

シキ「(ククク…キト・シラカワ、私はお前を超えるぞ…。…このDG細胞で!)」

コウタ「(キョウシロウさん…僕は絶対に退院して見せます。このメダル…絶対に返しにいきますから…!)」


〜サイトウ家〜

キョウコ「お兄ちゃーん!ご飯できたよー!」
キョウシロウ「おーう!今日の晩飯って何?」
キョウコ「じゃーん!キョウコ特製サイキョウハンバーグ〜!ピーマン残しちゃダメよ」
キョウシロウ「うげ…ピーマン入れてんのか…。ハンバーグは嬉しいけどこればっかりは…」
キョウコ「もう!好き嫌いしてたらいつまで経ってもお父さんは超えられないよ!」
キョウシロウ「親父だってピーマン嫌ってたじゃねーか!!」

キョウコ「あれ…? そういや、お父さんの形見のメダルどうしたの?」
キョウシロウ「ああ、アレ? アレはコウタに貸してやった。手術するらしいからお守りだよ」
キョウコ「嘘!? お父さんの形見を会ったばっかりの子に貸しちゃったの!?」
キョウシロウ「別にいーじゃねーか。返してくれるんだし。減るもんじゃねーだろ」
キョウコ「はぁ…お兄ちゃんってホントにバカだよね。普通そんなに簡単に他人に大事なもの貸さないよ」
キョウコ「(ま、それが良いトコなんだけどね…)」
キョウシロウ「いいのいいの。俺が納得してんだから!それに、持ち逃げするような奴にも見えなかったしな!」

ピンポーン

キョウコ「ん?こんな時間に…誰だろ?」
キョウシロウ「あ、俺が見てくるぜ。強盗とかだったら困るからな!」
キョウコ「…もし本当に強盗だったらどうするの?」
キョウシロウ「ビシバシやっつけてやんぜ!俺ってガンダムファイターだし!」
キョウコ「嘘つき、すぐ逃げるくせに。…とりあえずお願いね」


ピンポーン

キョウシロウ「はいはい、今出ますよ…っと」

ガチャ…

コウタ「こんばんは、キョウシロウさん。このメダル…返しにきました」
キョウシロウ「コウタ!?お前…手術成功したのか!?」
コウタ「はい、お陰さまで…。それで、少し付き合って欲しいんですけど…」
キョウシロウ「付き合う?何にだ?」
コウタ「お時間は取らせません…。駄目ですか…?」
キョウシロウ「ま、まぁいいけどよぉ…、…キョウコ!ちょっと出かけてくる!」
コウタ「ありがとうございます、キョウシロウさん…」
キョウシロウ「いいってことよ。さ、どこに行くか知らねぇけどとっとと行こうぜ」
コウタ「はい、こっちです…」

バタン…


キョウコ「(あれって…さっき話してたコウタ君?)」
キョウコ「(いくら手術が成功したからって早すぎるよ…先天性の病気ならリハビリに時間がかかるんじゃ…)」
キョウコ「な、なんだか凄く嫌な予感がする。あの時みたいに…」

キョウコ「…そうだ、念のために…っと…」

ピポパポピポパポ… プルルップルルッ… ガチャ…

アスカ『はい、ササキです』
キョウコ「夜分遅くにすみません、キョウコ・サイトウです。あの…マコトさんにお願いがあるんですけど…」
アスカ『マコトに?一体何のお願いかしら…』
キョウコ「あのー…もしかしたら取り越し苦労かも知れないんですけど…」


〜秩父山中〜

キョウシロウ「…何も疑わずに車に乗ったらこんな所に…一体どういうつもりだ?何をする気だ?」
コウタ「決まってるじゃないですか。約束…覚えてくれてますよね?」

コウタ「ここなら邪魔は入りません…。キョウシロウさん、僕とガンダムファイトをしてください…」

キョウシロウ「ガンダムファイトだとぉ!?」
コウタ「はい、僕もガンダムを持っているんです…。来て、デーモンガンダム…」
キョウシロウ「何ッ!?」

グォォオオオオオッ!!

キョウシロウ「土の中からデーモンガンダムがッ!? クソッ!なんてこった!!」
コウタ「ほら…強そうでしょう? さあ、キョウシロウさん…ガンダムファイトです…」
キョウシロウ「コウタッ!!てめえ、まさか!!」
コウタ「ふふふ…僕、強くなったんです。一人で歩けるようになったし、ガンダムだって操縦できる…」
キョウシロウ「DG細胞…!」

ザッ…

シキ「どうしたのだね、キョウシロウ・サイトウ。チャレンジャーの挑戦を受けないのか…?」
キョウシロウ「やっぱりてめえの仕業かッ!!」
シキ「フフ…どうやらまだ闘争本能に火がつかないようだ…。コウタ君、ガンダムを呼ばざるを得ない状況にしてあげたまえ」
コウタ「はい、先生…。いくよ、デーモン…」
デーモンガンダム「グォォオオオオオオオオオオッ!!」

ビシュッ! ビシュウッ!

キョウシロウ「チッ!」
シキ「さあ、どうしたキョウシロウ・サイトウ!ガンダムを呼ばなければ死んでしまうぞ!」
コウタ「ガンダムを呼んでください!キョウシロウさん!」
キョウシロウ「確かに…こいつぁサイキョウガンダムがいないとヤバいかもな…」
コウタ「だったら…!」
キョウシロウ「だが、お断りします」
シキ「何だと!?」
コウタ「どうして!?」
キョウシロウ「分かってんだろ、コウタ!こんなもんはガンダムファイトじゃねえッ!目を覚ましやがれ!!」
コウタ「ッ…!」
シキ「戯言を…。コウタ君、攻撃を続けるんだ」

マコト「ガンダムベイスター、GOッ!!」
アスカ『急いでください、マコト!相手はデーモンガンダムです!』
マコト「わかってる!これがMAXスピードだ! …SHIT!キョウコちゃんの予感的中かよ!」
アスカ『…! 前方に熱源反応多数!!』
マコト「何ッ!?」

ザザザザザッ

デーモンアーミー群「グォォォォォ…」
マコト「ジーザス!邪魔するんじゃねぇッ!! ショーナンビッグウェーブッ!!」

ドガァァァァッ!!

マコト「どうだ!吹っ飛んだろ!?」
デーモンアーミー群「グォォォォォ…」 ドシュッ! ドシュッ!
マコト「全然減ってねえッ!! クッ…無事で居てくれよ、キョウシロウ!!」


キョウシロウ「ちくしょう!そろそろ無事じゃなくなりそうだぜ! …おっとと!」 サッ
シキ「おのれ、ちょこまかと…。コウタ君!触手で奴の進路を塞げ!」
コウタ「…………」
シキ「聞いているのか、コウタ君!」
コウタ「あ…、は…はい!いけ、デーモン!」

ズドォッ!

キョウシロウ「おわっ!ヤ…ヤベェ…!」
シキ「ハハハハ!もう逃げられんぞ!さあ、踏み潰されたくなければガンダムを呼べ!」
キョウシロウ「嫌だっつってんだろーがッ!このヤブ医者がぁッ!!」
シキ「何だと…!?」
キョウシロウ「コウタぁッ!お前はこんな奴の言いなりでいいのかよッ!自由な体を手に入れて、したかったことはこんなことかよッ!?」
シキ「ええい!耳を貸すな! 踏み潰せ、デーモンガンダム!!」
コウタ「僕は…!僕はッ…―――!」

シン…

シキ「と、止まった?何故止めた!?」
コウタ「僕が…僕がしたかったのはこんなことじゃない!こんなの…ガンダムファイターじゃない!」
シキ「(馬鹿な…DG細胞の破壊衝動に逆らったというのか…?)」
キョウシロウ「へへ…やっぱ俺が目をつけた奴はそうじゃねーとなッ!」

シキ「クソぉ…どいつもこいつもこの私を馬鹿にしおってぇ…! こうなれば…デーモンガンダム、遠隔操作だ…!」

コウタ「な…! きゅ、急に制御が利かなく…―――…キョウシロウさん!逃げてえッ!」
キョウシロウ「…あ?」

ズシン…

コウタ「あ…あ…うわあああああッ!!キョウシロウさあああああんッ!!」
シキ「ハハハハ!ハーッハッハッハッハッハ!!私を馬鹿にするからそんな目にあうのだァーーーッ!!」


マコト「キョ、キョウシロウーーーッ!!」
デーモンアーミー群「グォォォ…」 ドシュウッ!
マコト「ぐおあッ…! クッ…なんて数だ…。このままじゃ俺もヤベェ…!」

ユーリ(ウェルチ)「グレイプビットォ!!」
エイト(ナットウ)「キナーゼウェブ!! スケサン拡散砲、ファイアァ!!」

ドガァァァァッ!!

デーモンアーミー群「グォォォォォォォ…」

マコト「ガ…ガンダムウェルチ!ナットウガンダム!」
ユーリ「お久しぶりです、ミスターササキ。関東の危機と聞いては駆けつけないわけにはいきません」
エイト「それに、駆けつけたのは俺たちだけではない」

ゴウザブロウ(オーエド)「オーエドガンダム登場!!雷門崩しを喰らいやがれぇぇぇ!!」
アカギ(ダルマー)「ダルマーガンダムもいるぜ!!秘技・だるま落としぃぃぃ!!」
サン(チャオズ)「チャオズガンダム、エンジン全開!!中禅寺拳法・華厳の滝落とし !!」
ミック(ネズミー)「ハハッ、ネズミーガンダム!!ミッククラッシャー!!」

マコト「皆、来てくれたのか!!」
ゴウザブロウ「水臭ぇぜ、マコト!喧嘩なら俺たちにも一声かけやがれ、べらぼうめぇ!!」
アカギ「がっはっはっは!!関東ガンダム連合、今ここに全員集合だな!!」
サン「デーモンガンダムなら相手にとって不足なし!オイラたちも暴れるぞぉ!!」
ミック「…で、そのデーモンガンダムとあのバカは一体どこかな? 姿が見えないけど…」
マコト「ああっ!そうだった!大変なんだ!キョウシロウがデーモンガンダムに踏み潰されちまった!!」
サン「ええっ!?」
ミック「あらら…ついにご臨終かな、ハハッ」
ユーリ「いえ、その程度ならば大丈夫でしょう…」
エイト「ああ、それくらいでは死にはしないだろうな…。むしろ劣勢なのは…―――」


シキ「くっ…雑魚がワラワラと…。こうなれば私がデーモンガンダムを操縦して全て一掃してくれる!!」 ダッ
コウタ「うう…ぼ、僕は…僕はキョウシロウさんを…」
シキ「どけッ!!」 ガンッ
コウタ「あぐっ…!」
シキ「いくぞ…デーモンガンダム!!この私こそがナンバーワンなのだ!!ぬおおおおおおッ!!」

???「おいおい、なりてぇのは医者のナンバーワンじゃねぇのかよ…。脱線しまくりじゃねぇか…」

シキ「―――…え?」
キョウシロウ「…ふん…!ぎぎ…! コウタぁ!よく頑張ったな!次は俺が頑張る番だぜぇ!!」 グググ…
シキ「ば…馬鹿なッ!デーモンガンダムを生身で持ち上げただとぉッ!?」
コウタ「キョ…キョウシロウさぁん!!」
キョウシロウ「うおおおおおッ!! どっこいしょぉぉぉぉぉッ!!」 グォンッ…
シキ「うっ、うわああーーーーッ!!」

ズゥゥゥン…

マコト「ああ…そうだったな…」
ゴウザブロウ「奴のここ一番のパワーは一切の常識が通用しねえ…」
アカギ「まったく底なしの火事場のクソ力ってやつだな!!がっはっはっはっは!!」
ユーリ「さて、あちらの心配は要りません!我々は此方の残存敵機を掃討しましょう!!」
マコト「おおっ!いくぜええッ!!」


キョウシロウ「来ぉぉいッ、サイキョウガンダァァァムッ!!」
シキ「クッ…クク…そんな旧世代のボロ一機でこのデーモンガンダムに敵うと思ってるのかァァァッ!?」
コウタ「理論や理屈ではそうかもしれない…。だけど彼は…キョウシロウさんは違う…!」
シキ「ふざけるなァァァッ!!いけぇ、ガンダムヘッドぉぉぉ!!」

ドシュウッ!

キョウシロウ「いくぜーーーッ!サイキョウラッシュ!!」
キョウシロウ「大宮!北与野!与野本町!南与野!中浦和!武蔵浦和!北戸田!戸田!戸田公園!浮間舟渡!北赤羽!赤羽!」

┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨…!!

シキ「ガッ…ガンダムヘッドが全て潰されッ―――!」
キョウシロウ「十条!板橋!池袋!新宿!渋谷!恵比寿ぅぅぅッ!終点・大崎ぃッ!!」
シキ「ぐおあッ!!―――…っく、今度はこちらの…」
キョウシロウ「だがしかし脱線したてめぇに終点はねえッ!!続きはオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラ!!」
シキ「うぐおおおおおおおッ!! な、何なんだそれはぁぁぁッ!!」
キョウシロウ「オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラァッ!!」
キョウシロウ「てめーは俺を怒らせた…」 ビシィッ!

ドォォォーーーーン!

シキ「はが…がが…」
コウタ「す、すごい…これがキョウシロウさんの実力…」
キョウシロウ「コウタ!そこから脱出しろ!コアブロックから跳べ!!」
コウタ「ええッ!?」
シキ「ハ…ハハハ…! ざ、戯言を!この高さから落ちたら死ぬぞ!」
キョウシロウ「いいから跳べッ!俺を信じろ!!」
コウタ「(ゴクリ…)うっ…うわああーーーーッ!!」 ダッ!
シキ「う、嘘だろぉッ!?ア…アイツ、マジで跳び下りやがった…。―――ハッ…!」
キョウシロウ「さぁて…トドメといくかな。覚悟はいいかい、ヤブ医者さんよォ…?」

シキ「まっ、待て!私はこれからナンバーワンになる予定の―――」
キョウシロウ「そんなにぃ…」 グッ

シキ「やめろ!その構えは何だ!何をする気だ!」
キョウシロウ「ナンバーワンになりたけりゃ…」 ググググ…

シキ「や、やめろーッ!やめてくれえーーーーッ!!」
キョウシロウ「一番星にでもなってやがれえええええッ!!!!」 ドンッ!

キョウシロウ「大激怒十万石翔龍アッパァァァァーーーーーーッッッ!!!!!」

ドッ…ガァァァァァァァーーーーーーンッッッ!!!!  ―――――――…シュピン!


マコト「おーおー、マジで星にしやがった…。あれ、落ちてきたら大変だな…」
エイト「問題ない、コアの破壊を確認した。速度と高度を計算した結果、地上に落ちてくる前に自壊して灰になっているハズだ」
ゴウザブロウ「お前も相変わらずクソ真面目な奴だなぁ…」
アカギ「がっはっはっは!まぁ後腐れなく吹っ飛ばして愉快痛快で一件落着!めでてぇめでてぇ!!」
サン「そだね!もう難しいこと考えなくていいや!」
ミック「それよりあのバカ…悪人とは言え、ついに人を殺しちゃったカナ?ハハッ!」
ユーリ「フフ…キョウシロウがそんな男なら我々も友ではいられませんでしたよ」


キョウシロウ「―――…なんてな。これに懲りたらキト先生を見習って、まっとうな医者の道を進みな…」
シキ「ハヒ…ハヒ…ハヒ…ハヒ…」 ジョロロロ…
キョウシロウ「うわっ!てめぇサイキョウガンダムの手の上で漏らすんじゃねぇ!!えんがちょ!えんがちょ!」

〜〜〜〜〜

コウタ「う…うーん…。…あれ?僕…落ちてない…?」
コウタ「あっ…これ…キョウシロウさんのメダルのチェーンが…木の枝に引っかかって…」
コウタ「はは…やっぱり幸運のお守りだな、これ…。すごいや…」

キョウシロウ「おーい、コウタぁ!そんな所で宙ぶらりんになって何してんだー?」
コウタ「あはは!今丁度、生きてることのありがたさを感じてるところです!」
キョウシロウ「はっはっはー!だろ?生きてるってのは素晴らしいこった! 今、下ろしてやるぜ!」


〜そして…〜

キト「…DG細胞除去完了…と、終わりましたよ…」
コウタ「あ…、…やっぱり僕の足は…」
キト「ええ、残念ながら…。これから地道に治療とリハビリを続けていくしかありません」
コウタ「そうですか…」
キョウシロウ「オイオイ、暗い顔してんだよ!ファイター道に近道なしだ!また最初に戻っただけだろ?」
マコト「そうだぜ。それに今回のことでDG細胞を自力で封じ込めるガッツがあることが分かったんだ!」
ユーリ「将来はキョウシロウよりも強くなる素質がありますよ、コウタ君」
キョウシロウ「ま、一千億万年早いけどな!」
コウタ「あははは!五年ぐらいで超えられるように頑張りますね!」
キョウシロウ「おお?生意気言いやがってっ、このこの!」
コウタ「痛っ、痛いですよ!キョウシロウさん!」

キョウコ「こらぁ!お兄ちゃん!何してんのよっ!!」
キョウシロウ「ゲッ!キョウコ…来てたのか…!」
アスカ「ええ、心配でいてもたってもいられなかったみたいですよ…ふふ…」
キョウコ「ア…アスカさん、だからそのことは黙っててって…!」
マコト「やれやれ、さすがのキョウシロウでもキョウコちゃんには敵わねえってか?」
サン「麗しい兄妹愛だなぁ…」
ミック「この年齢だとちょっとアブノーマル入ってるけどね、ハハッ」

キョウコ「大変だったね、コウタ君…だっけ…?」
コウタ「あ、いえ、そんなことないです…。キョウコ…さん…」
キョウコ「あれ?私の名前知ってるんだ!」
コウタ「はい、いつもキョウシロウさんと一緒に居るのを見てました。テレビで…ですけど…」
キョウコ「な、何だか照れるなぁ…。コウタ君もいつかガンダムファイターになるんだよね?応援してるよ!」
コウタ「(ポーッ…)」
キョウコ「ん?どうかした?」
コウタ「いっ、いえ!なんでもないです…!」

ゴウザブロウ「おっと、なんだか良い雰囲気になってるじゃねえか!」
アカギ「がっはっはっは!若いなぁ!俺も母ちゃんに会う前はあんな感じだったよ!」
エイト「想像もつかんな。ちなみに俺は独身だ」
マコト「おいおい、キョウシロウ。あのままじゃキョウコちゃん盗られちまうぜ?」
キョウシロウ「まっさかぁー!年齢が違うっスよ!年齢が!」
ユーリ「おや、一概にはそうは言えませんよ?」
ミック「ハハッ、あの程度の差ならすぐ関係なくなるサ!今はまだ離れてるように見えるけどね!」
キョウシロウ「な、何ィ〜!?だだだ、駄目だぞキョウコぉ!お兄ちゃんは許さん!もっと公序良俗のお付き合いを!」 ダッ
アスカ「あっ!キョウシロウさん!そこは死角になってますけど崖が…!」
キョウシロウ「へっ…?」 スカッ
キョウシロウ「あーーーーーれぇーーーーーーッ!!」 ヒューーーン…

サン「わあーっ!兄貴が落ちたぁーーーっ!」
マコト「まったく…ホームランボール直撃したりガンダムに踏まれたり崖から落ちたり忙しい奴だな!!」
ユーリ「やれやれ、救出しますか。きっと無事でしょう」
キト「それはそれで人間としてどうかと思いますがね」


 

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