アフターストーリー〜イサム・フジワラ編〜

実況「ここでグレートウルフ、コーナーを駆け上ってトップから高く跳躍したーっ!」
グレートウルフ「シャアーーーッ!!」

ドガァッ!

ブラックジョー「ぐぁあーーーッ!!」
実況「決まったぁーっ!グレートウルフの華麗なムーンサルトボディプレス!ブラックジョー、これは苦しい!」
グレートウルフ「どうだ!まだやるか!!」
ブラックジョー「こ、こりゃ敵わんわ!覚えとれよ!暗い夜道には気ぃつけぇや!!」 ダッ
実況「あーっと!ブラックジョー捨て台詞を吐いて試合放棄だーっ!!リングから脇目も振らず逃げてゆくーっ!!」

カンカンカンカン!

実況「ここでゴングが鳴ったぁーっ!勝者、グレートウルフ!ジョーの再三に渡る卑怯攻撃を物ともせず勝利を飾りました!」
グレートウルフ「ウオオーーーッ!!」

ワアアーーーーッ!!!

観客1「いよっ!男前やでウルフーーーッ!」
観客2「またいつかネオ大阪プロレスに来てやーっ!歓迎するでーっ!」
観客3「ウルフの中身ってあのイサム・フジワラなんやろ?ホンマ男前やわぁ…惚れ直したわ!」


〜控え室〜

ジョウ(ナニワ)「ふーっ…ごっつい試合やったわ。俳優とは思えへんて。こっちが本職ちゃう?」
イサム(マロウルフ)「以前、火サスに出演した時にイケメンプロレスラーの配役を経験しましたからね」
ジョウ「イケメンって自分で言うなや!…で、そん時にプロレスも極めたってわけやな?どんだけ〜!」
イサム「まぁ、少し齧っただけですけど…。でもお客さんが喜んでくれたみたいで本当に良かったです」
ジョウ「そこや!ビックリ企画でお前に頼んだけど正解やったな!もういっそのこと俳優辞めてプロレスやろうや!」
イサム「ハハハ…まだ俳優をやらせてくださいよ。ですが、また機会があれば参加させていただきますよ」
ジョウ「約束やで!…しっかし、あのイサム・フジワラとプロレスできる日が来るとは思わんかったわ」
イサム「これも偏にガンダムファイトのお陰でしょう。僕もジョウさんみたいなエンターテイナーの鑑に知り合えて本当に良かった」
ジョウ「そんなに褒めるなや。お前もエンターテイナーとしては一流やろが」
イサム「そうですか?僕はただ演じることが好きなだけなんですが…」
ジョウ「その演技に命懸けれるんが凄いってことや。尊敬するで、ホンマ」

TV「臨時ニュースです。今日午後未明、またもや破壊されたMFと搭乗者の死体が発見され…」

ジョウ「うわ…また誰か殺されたんか。平和になったのに物騒な話やなぁ…。……ん?どないしたんや、イサム。顔色悪いで?」
イサム「………。ジョウさん…僕、今日の試合で何かおかしくなかったですか?」
ジョウ「いきなり何やねん。おかしいもおかしくないも今日は誰が見たって立派な試合やったやろが」
イサム「…そうですか…それならいいんですが…。僕、興奮するとどうにも我を失ってしまう気がして…」
ジョウ「ああ、あのミブウルフの顔か?あれならドウマンさんに除霊してもろたんやろ?」
イサム「ええ…それはそうなんですが…この事件、もしかして…」
ジョウ「自分がやったかも知れへん、か?…あっはっはっは!中学二年生やないしそんなわけあるかい!」
イサム「僕の思い過ごしだといいんですが…」

コンコン

ジョウ「ん?誰や?…入ってええで!」

ガチャッ

警察官「すみません、ネオ京都警察の者ですが…イサム・フジワラさん、ご同行願えますか?」
イサム「!!」
ジョウ「な…なんやなんや!?いきなり何やって言うねん!」
警察官「イサム・フジワラさんに殺人の疑いがかかっています。詳しく事情を聞くためにも是非署まで…」
ジョウ「はあ!?そんなわけないやろが!何の根拠があってそんなこと言うんや!」
警察官「…調査の結果、破壊されたMFの映像レコードにガンダムミブウルフの姿がはっきりと映っていました」
ジョウ「なっ…!デ、デタラメ言うなや!」
警察官「事実です。イサム・フジワラさん…ご同行を…」
イサム「…は…はい…」
ジョウ「ええか、イサム!ワイは信じとるで!お前はそんなことするやつやあらへん!決して折れたらあかんで!」
イサム「ジョウさん…」

バタン…

ジョウ「クソ…!なんなんや、一体…!あいつがそんなことするわけないやろが…」
ジョウ「でもまさか…本当に無意識のうちにマロウルフを使うて辻斬りをやっとったら…」
ジョウ「あかんあかん!信じとるって言ったばかりやろが!ワイが信じんでどないすんねん!」
???「…意外と友情に厚い男だったんだな…。少し見直したぞ…」
???「だが、信じるだけでは奴らの思うがまま…力を貸せ、ジョウ・ナンバ…」
ジョウ「だ、誰や!?」

ギィ…

クレハ(甲賀式シノビ)「甲賀忍軍・クレハ推参」
アオバ(伊賀式シノビ)「伊賀忍軍・アオバ参上」
ジョウ「あ…あんたらは…!」
ジョウ「(…ロッカーから二人揃って出てきたトコにはツッコミ入れてええんやろか?)」

〜拘置所〜

イサム「(やってないと言い切ったが…あれは確かにミブウルフ…。ミブウルフは僕しか乗れないガンダム…)」
イサム「(本当は無意識のうちにやってしまったんじゃないだろうか…。彼の怨霊が僕の中にまだ巣食っていて…)」
イサム「(うう…僕は一体誰なんだ。仮面を被り続けているうちに僕は自分を見失ってしまったんじゃないのか?)」
イサム「(俳優?プロレスラー?公家?人斬り?…イサム・フジワラは…一体どれが本物の顔だ…?)」

クレハ「悩んでいるところ、失礼」
イサム「ハッ!あ…あなたは確か…クレハさん…?どうやってここへ?何のために?」
ジョウ「そら決まっとるやろ。夜更けに女の子がイケメンの寝床を訪れる理由と言ったら…」
クレハ「明日のワイドショーは話題独せ………ジョウ・ナンバ、ふざけるようならここで始末する」
ジョウ「ひぃ!案外ノリええと思ったけどやっぱ怖いわこの娘!」
イサム「ジョウさんも…。一体どうするつもりなんですか?」
クレハ「犯人を捕まえる。そのためにお前の力が必要だ…」
イサム「…と、いうことは…」

ジョウ「そ!脱獄や!」


〜京都市外〜

若者1「へっへっへ!ガンダムファイトほどじゃねぇけどMF使っての喧嘩は大迫力だな!」
若者2「おお!病み付きになるぜ!ちょっくら派手にやりすぎると騒ぎになっちまうのが問題だけど…」

ザッ…

若者1「あ?なんだぁ?俺のアッガイとやるってのかぁ?」
若者2「お…おい!あれって…」

ガンダムミブウルフ「―――コォォォォ…」

ズガァッ!

若者1「ひっ、ひいいいいいっ!」
若者2「こ…殺される!誰か助けてえええっ!!」

ミブウルフ「クォォォォッ…」 ブンッ!

ガキィンッ!

ミブウルフ「!?」
若者1&2「へ…?」

ジョウ「ひとーつ!人の世の生き血をすすり!」
クレハ「ふたつ…不埒な悪行三昧…」
イサム「みっつ!醜い浮世の鬼を!」

クレハ「………。…ジョウ・ナンバ…お前というやつは…」
ジョウ「じょ、冗談やて、冗談!クレハちゃんもノリノリやったやないか!」
イサム「ミブウルフ…!カメラで見た映像はよく見えなかったけど、あれは僕のマロウルフが変形したミブウルフじゃない!」
クレハ「…元々、ミブウルフは県間戦争時代にネオ京都が量産していた戦闘用ガンダム…」
ジョウ「つまりあれは中古のミブウルフってわけやな!まったく紛らわしい話やで!」
イサム「良かった…と安心している場合じゃないみたいですね。ファイターは一体誰なんだ…?」
クレハ「誰…という問いに答えることはできないだろうな…。…来るぞ!各自散開!」
ジョウ「散開って…相手はたった一機やで?フクロにしてしまえば…」

ゾロゾロゾロ…

ミブウルフ軍団『コォォォォ…』
ジョウ「…ミブウルフのバーゲンセール年末大安売り30%オフやな」
クレハ「言っている場合じゃないぞ!」

ジョウ「ふんぬーーーっ!!通天閣スープレックスやーーっ!!」 ズドォン!
ミブウルフ「クォォッ!!」

クレハ「水遁・鉄砲水!」 バシュウッ!
ミブウルフ「コァァァァッ!!」

イサム「舞踊剣…花鳥風月!」 ザシュッ!
ミブウルフ「コォォッ!!」

ジョウ「な…なんやこいつら…やたら弱いけど一体どれだけおんねん!」
クレハ「数自体はそうでもない。…ただ、DG細胞で再生を繰り返している…」
イサム「DG細胞!?そうか…ファイターの気配を感じないと思ったらこいつらは…」
ジョウ「どどどどないすんねん!ワイらのガンダムはいずれエネルギー切れするんやで!?」
クレハ「…イサム・フジワラ…お前に命運を託す…」
イサム「え!?ぼ…僕に!?」
クレハ「このミブウルフの統率された動き…おそらくこの中に指揮官役のミブウルフがいるはず…」
クレハ「奴さえ仕留めれば思考が単調な自律回路の動きは大きく乱れるだろう…後はマザービワレイクで一気にケリをつける」
ジョウ「そういうわけや!頼んだで、イサム!」
イサム「な…!ぼ、僕にそんなことができるわけがないでしょう!何故僕なんですか!?」
クレハ「その答えは既にお前自身気付いているはずだ…」
ジョウ「せや!イサム、お前の十八番やで!…『演じる』んや!この無数のミブウルフの中に居る指揮官の思考を読むんや!」
イサム「『演じる』…。………」

イサム「(演じる…。この量産型ミブウルフを…。県間戦争時代の獰猛な狼…)」
イサム「―――コォォォォ…」
ジョウ「へへ…ええ感じやんか!やっぱ大物やでぇ!イサム・フジワラは!」

イサム「―――見えたッ!そこだッ!!」
イサム「木偶人形がぁ!ぶった斬ってやるぜ!! 牙鉄・大文字斬りぃぃぃ!!」

ザシュウッ…

ミブウルフ軍団『!?!?』
クレハ「…マザービワレイク…起動…。…180秒でケリをつける…」 ヴン…



〜ネオ京都警察署〜

警察官「しょ、署長!大変です、イサム・フジワラが…」
署長「な、なんだと!?ええい、何をしておる!!早く捕らえんか!!」

ヒュッ… カッ

署長「しゅ…手裏剣!?」
アオバ「そこまでにしてもらおうか…。ネオ京都警察署署長、少し聞きたいことがある」

署長「おのれ…嗅ぎつけおったか伊賀の忍犬めが!かくなる上は…」 ビキビキ…

デビル署長「私自ら全てを隠蔽してくれる!覚悟ぉぉぉ!!」
アオバ「笑止千万…拙者も侮られたものだ…」

ドカッ! バキィッ! ドゴォッ!

デビル署長「ぐぇえ…!」
アオバ「さて、洗いざらい吐いてもらうぞ…。キムのデーモンガンダム量産計画についてな…」
デビル署長「ふん!誰が貴様なぞに…」
アオバ「忍に対するその認識の甘さ…徹底的に教え込んでくれる…」

〜そして…〜

クレハ「…兄上から連絡が入った。向こうも全てカタがついたとのことだ」
ジョウ「かーっ!よかったなぁ、イサム!危うく陰謀に巻き込まれるところやったぞ!」
イサム「ええ、ホッとしましたよ。これで次の連続ドラマの出演がおじゃんになったらどうしようかと思っていました」
ジョウ「…お前はホンマに演技バカやなぁ…」
イサム「ハハハ…褒め言葉として受け取っておきますよ」

クレハ「それより、少し気になっていたのだが…」
イサム「はい、なんでしょうか?」
クレハ「……一瞬、元ミブウルフのファイターの霊が乗り移ってなかったか?」
ジョウ「あ、それ思った。なんかメチャ凶暴なこと言っとったで」
イサム「え…すみません、ちょっと興奮してたみたいで…記憶が曖昧のようです」
ジョウ「案外、あれがお前の本当の顔やったりしてな!」
イサム「ええ!?僕ってそんな凶暴に見えます?」
ジョウ「冗談や!冗談!あっはっはっはっは!」
イサム「よしてくださいよ、笑えない冗談は!ハハハハハハハ!」

クレハ「…本当に笑い事じゃないと思うんだが………」



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