before story 〜ガンダムリョウマ〜

県間戦争も終り、人間達は次の時代のために生きる準備終えた時代…
リョータ・サカモト、10歳の時であった…

サダヨシ「…そこまで!! 今日の試合はこれで終了ぜよ」
サナ「へへへっ、今日もわたしの勝ちかなぁ〜!」
塾生「ハハハハハッ! リョータの奴、また女に負けよったぜよ!」
リョータ「………」
塾生「あれで坂本竜馬の子孫なんだから笑っちまうよな!」
リョータ「…えぐっ……お前らにわしの何がわかるんじゃい!!」
塾生「おー、泣き虫リョータがまた泣いたぞ〜!」
リョータ「…お前らいつも…いつも…わしはもう帰るぜよ!!」
塾生「またリョータが逃げおった、泣くとすぐに逃げおるき、面白いのう」
サナ「………」


リョータ「…あいつら、わしのことなんも分かってないぜよ、わしだってあんなに言われたら悔しいじゃ…」
サナ「へー…あんたでも悔しいと思うことがあるんだ」
リョータ「サナ! どうしてここに?」
サナ「幼馴染のサナちゃんに、リョータが行きそうな場所が分からないわけないでしょ?」
リョータ「そうじゃな…」
サナ「で? 今日はどうしたの? いつもボーッと空見るのが趣味のような男が、悔しがるなんて珍しいじゃん」

リョータ「…坂本竜馬の子孫」
サナ「え?」
リョータ「坂本竜馬の子孫だから強くて当然、坂本竜馬の子孫だからこの国を引っ張って当然、
誰もわしをリョータとして…一人の男として見てくれん、リョータとして見ないくせに勝手に期待だけはする、それで失望だけはわしに押し付ける…」
サナ「………」
リョータ「…だから悔しいんぜよ」
サナ「わたしは見てるよ?」
リョータ「??」
サナ「リョータを男として、ちょっと泣き虫でいつもボーッとしてて、釣りが好きな男、リョータ・サカモトとして …それだけじゃ足りない?」
リョータ「………」

サナ「わたしもね、サダヨシ先生の娘だからさ、いろいろ見られてきたんだよね」
リョータ「?」
サナ「あそこの道場は女しか生まれないから跡継ぎがいないとか、真剣勝負に勝っても『女だから手加減してやった』とか相手に言われるし…」
リョータ「そうじゃな、たとえ相手が誰であろうと手加減はよくないぜよ、 …それが負けた言い訳ならなおさら」
サナ「うん、それがリョータだけは違かったんだよ?」
リョータ「なんじゃ?」
サナ「負けても言い訳はしないし、戦いは終わったのにこっちをギラギラとした目で『次は勝ってやる』って見つめてる」
リョータ「そうなんか? さっぱりわからんぜよ」
サナ「それでこの子は誰なんだ?ってすごい気になって、サダヨシ先生にいろいろ聞いてさ〜」

サダヨシ『奴は天に愛された男じゃ、神はリョータに才能と努力する力の両方を与えた』

サナ「って言っててさ〜、…だからさ、もうちょっとだけ頑張ってみようよ! 」
リョータ「そうじゃな! こんなところで腐ってる暇があるんだったら、練習するほうがマシじゃな!」
サナ「そうそう! その意気その意気!」


そして一年後… リョータ・サカモト、11歳の時であった。

サダヨシ「…そこまで!! 今日の試合はこれで終了ぜよ」

ざわざわ
塾生「…これでリョータは何連勝目だ?」
塾生「わからん…が、半年前から負けてないのは確かじゃ」

リョータ「ふぅ…道場さん今日もありがとうございました…っと」

サナ「リョータ!! 大ニュース、大ニュース!!」
リョータ「サナ、道場に上がる時は履物を脱いでから上がってほしいぜよ」
サナ「ああ、ごめんごめん、それよりも…ホラ!」
リョータ「『…この度は都道府県対抗ガンダムファイト開催にあたり、
ネオ高知県代表の選出会を開きたいと思います、参加資格は特になし年齢の制限もありません、是非参加してみて下さい』」
リョータ「これが、どうしたんじゃ?」
サナ「どうしたじゃないでしょーが! リョータが参加するんだよ〜!」
リョータ「ええ!? わしが!? サナのほうが向いてると思うぜよ」
サナ「わたしは無理だよ、一年前みたいにリョータより強いわけでもないし、…それにね」
リョータ「??」
サナ「胸も膨らんできて、ほかの男の子みたいに筋肉もなかなか付かなくなってきて、GFはおろか普通の剣士としても戦えないんだ…」
リョータ「そうじゃな…女子は大変じゃな、わしはいつまでもサナのことを剣士としてみてるから、チャンバラの相手にはなってやるぜよ!」
サナ「…そろそろ女として見て欲しいんだけどなぁ…」
リョータ「ん? なんか言いおったか?」
サナ「いーえ、なんにも言ってませーん! それでどうするの?」
リョータ「わしは遠慮するぜよ、わしがMFに乗るなんて先代のGFさん達に申し訳ないぜよ」
サナ「え〜、やろうよ! というかもうリョータの名前を参加申し込みに登録しちゃったし」
リョータ「…なっ!」
サナ「勝手でごめんね、でも成長したリョータをみんなに見てもらいたくて…」
リョータ「…しょうがないぜよ、今から登録破棄してもみんなに迷惑がかかるぜよ、…参加するぜよ」
サナ「やったぁ!! じゃあ当日までしっかり鍛えててよ!」

数日後… ネオ高知県 都道府県対抗ガンダムファイト 代表者選考会場

リョータ「しっかし、選考会とはいえ、こんな大きい会場を用意するとは…」
サナ「MFはおっきいからね〜、じゃあ、私は観客席で応援してるから」
リョータ「…サナ、ここまでいろいろありがとう、感謝するぜよ」
サナ「…な、何? 急に改まって? それに『ここまで』じゃない『これからも』あんたは、わたしの世話になるの!」
リョータ「そうじゃな『これからも』よろしく頼むぜよ!」
サナ「うん!」

選考委員会「あっれー、おかしいなぁ、『ガンダムリョウマ』が動かないぞ? 整備士、しっかり仕事したのか!?」
整備士「わしら"かいえん整備隊"の整備は完璧じゃ、そんなはずはない!」
代表候補「なんだよ、動かねぇじゃねぇか、やっぱり県間戦争時代の骨董品だったみたいだな」
代表候補「チッ、時間を無駄にしたぜ、帰ろうぜ!」
選考委員会「…し、しばしお待ちを! 整備は完璧ですので、候補者たちは順々にコックピットに入り、動かせたものを正規パイロットとしましょう!」
リョータ「…よくわからんことになったぜよ、だけど動かせたら正規パイロットになれるなら、わしにもチャンスはあるぜよ」

候補者「ダ〜メだ、まったく動かない」
候補者「よし、つぎはわたs…」

ドォォォオオオン!!

観客「なんだ、爆発だ、にげr…うああああぁあ!!」
サナ「爆発!? 一体何が起きてるの? あれはMF!」
選考委員会「なんなんだ、ゴロツキの進入を許すとは!! 外を警備していたジムかいえんタイプはどうした!!」
整備士「それがよ、何機かジムが寝返ってゴロツキの味方をしていやがる!」
選考委員会「クソォ! ネオ高知のシンボルとも言えるガンダムリョウマ強奪とは…」

候補者「うぁぁあああ! 逃げろ!!」
リョータ「サナ! サナァ!! どこじゃ!! 会場を襲ったMFは二機、会場外外周に5、6機ってとこか…」
リョータ「…やるしかないぜよ!」

選考委員会「ああ!! 君! ちょっと!! 勝手にガンダムリョウマに入っちゃダメじゃないか!」

リョータ「…電気すら灯っていない、本当に動かない? でもコイツがいないとサナを助けられないぜよ…サナと約束したぜよ『これからも』よろしくって!!」
リョータ「クソ、クソォ!! 戦争はもう終わったんじゃ!! 戦いで人が死んではいけないんじゃ!!」
リョータ「お前もガンダムなら戦ってみせるぜよッ!!」

ドン! ブゥゥン!
リョータ「…で、電気が付いた!!」

選考委員会「…リョ、リョウマが動いた!!」
リョータ「来い! 悪党!!」

野良GF「リョウマが動くなんて聞いてないぞ!?」
リョータ「五月蝿い! 悪党は黙って倒れてるぜよ!」
野良GF「…って相手は子供か! ガッハハッハ! 舐められたものだ! って脚部破壊だと!?」
リョータ「…おんしより圧倒的に弱いわしには、油断はないぜよ…おんし、油断してると痛い目をみるぜよ…?」
野良GF「…う、うぁぁあああ!!」

選考委員会「すごい…ものの数秒で一機撃破とは…」
リョータ「おんちゃん!! 何か武器は!?」
整備士「格納庫に戻ればビームピストルがあるんじゃが、今はサーベルしか搭載されとらんぜよ!」
リョータ「…十分ぜよ」

サナ「あ、あの太刀捌きは…リョータ? 助けに来てくれた?」

選考委員会「なんだ、あの子供は…相手が訓練を受けていない野良GFだとしても圧倒的すぎる…」
整備士「あのガキは集中してるんだろうよ」
選考委員会「??」
整備士「戦闘経験がない圧倒的に弱いガキが勝つにはそれこそ、心を限界まで研ぎ澄ました刀のように集中するしかない…」

リョータ「終わったぜよ…コクピットは避けた、人死にはないはずじゃ…サナ、無事じゃったか?」
サナ「リョータぁぁ!! 本当に心配したんだから…このバカ!!」
リョータ「す、すまんぜよ…『これからも』もっと頑張るから、とりあえず手を離すぜよ、苦しいぜよ〜」
 

 

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