機動新時代ガンダムSaga


〜三年後〜

ジャイロ(遺跡発掘チーム)「カイ!EG!お前らの故郷ネオジャパンの深海に遺跡が発見されたそうだぜ!?」
アニー(遺跡発掘チーム)「それも今まで見たことの無い文明の遺跡ですって!胸が躍るわね!」
EG『ふむ…ネオジャパンの近海か…。しばらく帰ってなかったし、帰郷ついでに調べてみるか?』
カイ「…んー…そうだな、久々に姉ちゃんに会いたいし。ジャイロ、アニー、俺とEGも発掘作業に参加するよ!」
ジャイロ「そうこなくっちゃ!それじゃ、早速手続きを済ませてくる!イヤッホー!!」
アニー「あ、待ってよジャイロ!私も行くわ!深海作業となればMFも借りられるわね!二重ラッキーよ!」

ダダダダダダ…

カイ「はは…相変わらずテンション高いな、あの二人…」
EG『彼らのお陰でお前のヒネクレも直ったというものだ。感謝しても足りないくらいだ』
カイ「お前も相変わらずうるさいな。わかってるよ、そんなこと」

カイ「はぁ…それより姉ちゃん元気かなぁ…?結婚とかしてたら俺、どんなリアクションすればいいんだろう…」
EG『相変わらずなのはお前もだな。まったく…彼女いない暦=年齢=19歳とは…』
カイ「別にいいだろ。放っておいてくれよ」


〜有明海・深海遺跡〜

カイ「Eg250!潜水モードに移行!ダイバーフレーム装着確認!」
EG『各機能オールグリーン!特別無線に切り替える!』
カイ「まさか有明海の底の遺跡だったとはね…モロ地元じゃねーか。三年じゃやっぱ変わらないな、佐賀は」
EG『……なぁ、カイ…お前は覚えているか?…ネオ佐賀の遺跡からEg250が発掘されたことを…』
カイ「忘れるわけないだろ。あれから俺はガンダムに乗ることになったんだから…」
EG『…どうもこの遺跡…無関係とは思えない…』
カイ「また新しいガンダムが出てくるって?それはそれで面白いな。アニーにプレゼントしたら喜びそうだ」


〜遺跡内〜

カイ「…凄い…この遺跡、深海にあるのにコケのひとつも生えてないぜ…。それに…」

ザバァッ

カイ「どうなってるんだ、この部屋。海水が全く入ってきていない」
EG『まさにミステリーだな…。ガンダムから下りても大丈夫そうだぞ、カイ?』
カイ「なら…ちょっと探検してみるか!ワクワクするね、こういうの!」
EG『気をつけろよ。ホラー映画では好奇心で未知の領域に踏み込んだ奴から死んでいく』
カイ「嫌なこと言うなよ!…一応、護衛モード起動してくれ…」

テクテクテク…

カイ「いつの時代に造られた遺跡なんだ…。これはもしかして世界を震撼させる大発見かも…」
カイ「あれは…カプセル?…冷凍保存装置…みたいだな…」
EG『そのレバーで空けられそうだが…空けるか?空けてエイリアンがグギュバァ!…お約束だぞ?』
カイ「いいか、俺を置いて逃げるなよ?逃げたら祟るからな?あとレーザーガンの安全装置外すの忘れるなよ?」
EG『…空けるのか…。昔のお前ならスルーして帰ってた所だがな…』
カイ「こんな大発見をみすみす後の調査隊に譲れるかよ!せーのっ!」

プシュウウウウ………ガコンッ! ギゴゴゴゴゴ…

カイ「…!」

少女「スースー…」

カイ「女の…子…?」
少女「(パチ…)………?」
カイ「わっ!お…起きた…!…お、おはようございます…」
少女「おはよう…。ここは…平和な時代…?」
カイ「へ…平和と言われればそうだけど…君は一体…」
少女「!! …カイト!カイトではありませんか!生きていらしたのですね!よかった…!」

ガバッ

カイ「おわっ…! (あ…柔らかい…。それに良い匂いだ…。…じゃなくて!)」
カイ「ちょ、ちょっと待ってくれ!人違いだ!俺はカイ・アリアケ!カイトって人じゃない!」
EG『ピッ…ピガッガ…ピー…―――…オかしイ…、ナんダ…コのノイず…。カイ…そノ少女ハ…』
カイ「ちょっ…!こんな時にどうしたEG!ああああ、何がどうなってるんだ!」
少女「あら…貴方はもしかしてエッグ?姿形は違っても…カイトと一緒にいるんですもの!」
EG『ピガー…ピー…―――………お久しゅうございます、ヒトヨ姫』
カイ「EG!?お前…!」
ヒトヨ「思い出してくれたのね、エッグ…。ああ、これが私たちの望んだ平和な時代…」
EG『カイ…この遺跡…Eg250…ヒトヨ姫…そして私の失われたメモリー…これらは全て一本の線で繋がっていたのだ…』
EG『これは奇跡というべきか…それとも必然?起こるべくして起こったことなのか…』
カイ「な、何を言ってるんだ!?俺には何がなんだかサッパリだよ!説明してくれ!」

ドォォォォン…!

カイ「ッ…!?…爆音…、…上から…?」
EG『む!まずい!説明は後だ、カイ!今の衝撃でこの遺跡は崩壊を始めた!Eg250を呼べ!』
カイ「ええ!?…クソッ、しょうがねえ!  来ぉぉぉいッ、ガンダァァァァムッ!!(パチン!)」

ズゥン…

ヒトヨ「あ、あああ…!ま、まさかミツルギ…!?…そんな…この時代でも動いているなんて…!」
EG『ヒトヨ姫、お気持ちはご察ししますが今はお乗りください。カイ…いえ、カイトが操縦いたします』
カイ「チクショウ!俺はカイ・アリアケだ!ヒトヨさん…とか言ったな!しっかり捕まってろよ!」


〜海上〜

謎のザクタイプ「ヒャハーッハッハッハ!!弱ぇえ弱ぇえ!!この時代の兵器はなんでこんなに脆いんだぁ!?」
ジャイロ「Shit!なんだってんだよ、あの古ザクは!ジャパニーズニンジャか!?」
アニー「駄目だわ、ジャイロ!発掘作業用ジムは戦いに向いてないのよ!逃げましょう!」
ジャイロ「バカ!カイがまだ下にいるんだぞ!?ダイバーフレームじゃ狙い撃ちじゃないか!」
謎のザクタイプ「何ィイ!?カイトの野郎ォ…この時代でもいやがるのか!!ヒャッハー!こうなりゃ俺がブッ倒して手柄を立ててやるぜ!!」
アニー「何言ってるのよ!カイトじゃなくてカイ!私たちの仲間よ!」

ザバァ…!

カイ「な、なんだ!?あいつは!?…ジャイロ!アニー!」
謎のザクタイプ「出てきやがったなぁ、ミツルギぃ!!そんな改造で俺の目を誤魔化せると思ったかぁ!!死ねえ!!」
カイ「なっ…狙われてる!?…まずい!この距離じゃ避けきれない!!」
EG『ダイバーフレームを外して逃げろ!カイ!』
カイ「間に合うかーーーッ!?」

ヒトヨ「…このミツルギは…まだ目覚めていないのですか…?」
ヒトヨ「仕方ありません…戦いに手を貸すような真似はしたくないのですが…カイトの命を護るために…」
ヒトヨ「ヒトヨの名において承認する…コード『EaGerness』…発動!」

カイ「コード『EaGerness』!?…どうしたってんだ、Eg250!出力が異常な勢いで上がっていく…!?」

カイ「これなら…やれそうだ!!…やるしかないってんなら…やってやる…!!」



新番組・機動新時代ガンダムSaga   乞うご期待!!  


機動新時代ガンダムSaga  
プロローグ 〜神話の時代〜

ヒトヨ「どうです?ここでの生活には慣れましたか?」
カイト「大分…ね。」
ヒトヨ「神殿での生活は何かと不自由ですから…少し心配していたのですが…」
カイト「まあ、たしかに面倒なしきたりとかもあるけど…それは我慢するさ」
ヒトヨ「…申し訳ありません」
カイト「あ、いやいや、そんなつもりじゃなくて…」

ヒトヨ「…あ、それなら、少し外を見に行きませんか?この神殿の最上階は、とてもいい眺めなのですよ」
カイト「気分転換…ってこと?」
ヒトヨ「そういうことです」
カイト「まあ…でもいいのか、顔を外にだして?」
ヒトヨ「ふふっ、きっと下からは見えませんよ。さあさあ、こちらへ…」


〜神殿最上階〜

カイト「綺麗な景色だな…」
ヒトヨ「夕焼け空の下に広がる金色の稲穂…私はこの景色が大好きなのです…」

ヒトヨ「こんな平穏な日々が、ずっと続いてほしい…」

ヒトヨ「でも…私は怖いのです。こんな時代…たとえ今日の夕日を拝めても、明日の朝日を拝むことは出来ないのではないかと…」

カイト「心配するな」
ヒトヨ「え?」
カイト「君は僕が守るよ。いつか遠い未来、きっと平和な時代が訪れる…その時まで」
ヒトヨ「カイト…」

カイト「(…そうだ…そのために俺はここにいるんだ…!)」


???『初めまして、カイト様』
カイト「!?」
ヒトヨ「あら、驚かせてしまいましたね。申し訳ありません」
カイト「姫、その手に持ってるのは…」
ヒトヨ「ふふっ、面白いでしょう?ほら、エッグ、カイトに自己紹介を」
エッグ『承知いたしました。では改めまして、私は第一世代人工知能搭載型サポートメカ<エッグ>と申します。どうぞ、よろしくお願いいたします』
ヒトヨ「はい、よく出来ました♪」

カイト「…E…、G……」
ヒトヨ「…いー、じ−…?この子の名前はエッグですけれど…、あなたの国の言葉ではそう言うのですか?」
カイト「!あ、いや、その…」
ヒトヨ「いいのですよ。はい、これはあなたに差し上げます。」
カイト「俺に?」
ヒトヨ「ええ。あなたの好きなように呼んであげてくださいな。」
カイト「こんな凄いもの…いいのか?」



ヒトヨ「カイト…、あなたは一人でいる時、とても悲しそうな顔をしますね…」

ヒトヨ「私と一緒にいる時は決して見せないけれど……、まるで、この世界で一人きりになってしまったような…」

ヒトヨ「ですから…少しでも気が粉れるよう、あなたにこれを差し上げたくて……、ふふっ、ちょっとくすねてきてしまいました」

ヒトヨ「お節介でしたか…?」


カイト「…いや、そんなことないよ。ありがとう」
ヒトヨ「受け取って下さるのですね!ああ、よかった…。さあエッグ、しっかりとカイトの言うことを聞くのですよ」
エッグ『承知いたしました。よろしくお願いいたしします。マイ・マスター、カイト様』

………

???1「あの小娘…。あれを持ち出すだけならまだしも、よりによってどこの馬の骨ともわからん若造の手に渡すとは…」
???2「姫の世間知らずにも困ったものだ…あれがどれほど大事なものか、まるでわかっていない…」
???3「とはいえ、あれの使い方を知るものは我々しかおらん。さして心配あるまいて…」


 〜クナの国〜

ヒコ「ヤの国(ヒトヨ達の国)からの亡命者だと…?」
兵士「はい。このような密書を預かっております」
『ヤノ国、新タナ兵器ノ開発ニ成功セリ・ヤノ国、新タナ兵器ノ開発ニ成功セリ・直チニ戦力ヲ結集シ、制圧ニ当タラレタシ』
ヒコ「…これは…」
兵士「いかがいたしましたか?」
ヒコ「…そいつをここに連れて来い!」
兵士「は、はい、只今!」


亡命者「やつらは俺達のことなんか、馬や牛と同じ家畜程度にしか思っちゃいない!働かせるだけ働かせて、そのくせ満足に食い物もくれやしない!!」
亡命者「ほら、見てくれよこの体を!あのヘンテコな機械が完成するまで、何にも食わせてもらえなかったんだぜ!!」
亡命者「おまけに何度も鞭で叩かれて………クソッッ!何が平和の国だ!!影で俺達がどんなひどい目にあってるか…」

亡命者「…なあ、助けてくれよ。今ならまだあの機械は完成してないんだ。だから今のうちにアンタ達の手でアレをぶっ壊して…俺達の仲間を助けてくれ!」


ヒコ「…どう思う?」
兵士「あの姿を見て信じないものはおりません。ここは一刻も早く部隊を編成し、敵が新兵器を完成させる前に制圧に向かうべきです!」
ヒコ「そうだな…だが待て。我々にただ争いをさせたいが為だけの罠かも知れん」
兵士「まさか…」
ヒコ「しかし、黙って見過ごすわけにもいかんな…よし、偵察部隊を組織しろ!私も出る!!」
兵士「ハッ、了解しました!」


兵士「(血気盛んな男と聞いていたが…思ったよりも用心深いのだな…)」
亡命者「(ああ。だがどうであれ、これで軍は動く。さあ…仕上げは任せたぞ)」


〜神殿地下〜

エッグ『カイト様、この先は踏破禁止区域に指定されています。お戻り下さい。』

エッグ『カイト様!お戻り下さ―――』
カイト「ごめんな、しばらく電源切らせてもらうよ」

カツーン…カツーン…カツーン……

カイト「(同じだ…、何もかもがあの頃のまま……。いや、あの頃って言うのもおかしな話か…)」

カイト「(大きな扉…暗くてよくわからないけど…確かに見覚えがある。この先に……)」
???1「お前!こんな所で何をしている!!」
カイト「!!、しまった、気付かれたか!クソッ…起きろ、EG!」
???1「それは!…ということはあの若造か!貴様…ここは禁止区域だぞ!さっさとその人工知能を置いて立ち去れ!」
エッグ『起動完了…おはようございます、カイト様。本日の天気は…』
カイト「挨拶はいいから!ええと、確かこの辺に…………あった!EG、扉の開放コードを!」
???1「何をする!貴様、それに触るな!!」
エッグ『状況が良くわかりませんが…ええと、この開放コードの入力には特別な許可が…』
カイト「いいから、早く扉を開けてくれ!時間が無いんだ!!」
エッグ『…、承知いたしました…』

ガガガガガガ…

カイト「よし、開いたぞ……この中に…!」
???1「おいっ!貴様、待て!!!」


???1「くっ…扉の開け方まで調べていたとは…」
???2「とんだ失態だな」
???1「見ていたのか…ならばなぜ手を貸さなかった」
???3「すでに我らが計は成っておる。いまさらあれを知られたところで何も変わらんよ…」
???2「そういうことだ。後は来るべき時を待つのみ…」
 

〜ヤの国・国境付近〜

ヒコ「どうだ…、何かわかるか?」
側近「いえ、レーダーには何も…」
ヒコ「もう少し接近するか……。よし、北西、山岳地帯まで進行する。各員、警戒を怠るな!」
側近「了解しました!」
ヒコ「全機、進軍開始!!」

バシュゥゥゥ…


〜神殿内部〜

ガガガガガガ……ガコォン!

カイト「よし…これで扉のロックはOK……、ふぅ、これでしばらくは追ってこれないだろ。よくやった、EG」
エッグ『お褒めいただき光栄です、マスター』
カイト「ホントに助かったよ。さてと、明かりを点けるには…」
エッグ『そのまま私が操作いたします』
カイト「ああ、ありがとう。……あれ、そういえば許可がどうのこうのって言ってたのは、もういいのか?」
エッグ『はい。毒を食らわば皿まで、とはよく言ったもので』
カイト「おい!それじゃあまるで俺が悪人みたいじゃないか」
エッグ『この状況ではどう見ても…』
カイト「あーもう!仕方ないだろ……、まあいいや。じゃあ明かりを点けてくれ」
エッグ『承知いたしました』

パァァァ……

カイト「!!」

カイト「…あった……やっぱり…ここに…」

カイト「…やっと会えたな………、ガンダム……!」

ガコン!

カイト「!!」
???3「ガン…ダム…とな?…随分とおかしな名で呼ぶんじゃの」
カイト「(…早かったな…。もう少し手間取ってくれると助かったのにな…)」
???2「この短時間で扉の開放コードを書き換えたことは褒めてやろう。だがあの程度では時間稼ぎの内にも入らんわ」
カイト「そうか?そういう割には随分と遅かったじゃないか」
???1「若造が、生意気な口を―」
???3「静かにせんか、見苦しい…。小僧、たしか、カイト…と言ったか。こんな所まで忍び込むとは、いやはや大した者よ。ついに、その目で見たのじゃな」

???3「…フフ、素晴らしいじゃろう?これこそが我等が倭国に伝わりし技術の粋を集めた、最高傑作よ…」
カイト「最高傑作…確かに、他にこんな凄いMSを見たことはないね……この時代では」
???3「フッフッフ……随分と知った風な口を利くのう」
カイト「…風、ってわけじゃないんだけどな」
???3「フフ、まあよい。………この戦乱の世…我らは切に求めておった。平和な世を……、世を平和にしうるだけの力を秘めた王たる者を」

???3「そして出会ったのじゃ。……かつての覇王、超世の傑の血潮をその身に継ぎし、世界の王となるべき者を」

???3「そしてついに完成させた…全ての争いに終止符を打ち、全ての人間がその前に跪く最強の剣……、この<御剣>を!」
カイト「(よく言うぜ…。そんな力で押さえつけた平和なんて、何の意味がある…!)」
???3「じゃが、この機体にはあと一つだけ、足りないものがある」

???3「それは―」

ドォォォォン!

カイト「!!!」
 

〜ヤの国・山岳地帯〜

ヒコ「何だ、何が起こった!?」
側近「ヒコ様!せっ…先行していた3番機が発砲…、攻撃を仕掛けております!」
ヒコ「何だと!?おい3番機!攻撃命令は出していないぞ!直ちに攻撃を中止しろ!!」
兵士「…ずっと待っていた…」

ドォォォン!

兵士「我等のギの国が、ワの大陸全てを手中に収める時……我等がソウエイ様が、真の覇者となる日を!!」

ドォォォォン!!

ヒコ「貴様、ソウエイの手の者か!?ええい、我が軍の機体であろうと構わん!打ち墜とせ!!」
側近「はい!」

ピシュン!!

兵士「ぐあっ!……くっ、容赦なく打ち墜とすつもりか………、聞いていた通りの男だ………。ふふ…そうだ、それでいい!」

ピッピッピ……ピッ!ビーッ!!ビーッ!!

『暗証番号確認、コード<Suicide>を承認しました』
兵士「ブースター出力最大…目標地点・ヤ国神殿中央部!!行くぞ!!!」

バシュゥゥゥ!!!

ヒコ「貴様、どこへ行く!!」
通信兵「ヒコ様!この方向……あの機体が向かっているのは……おそらくヤの国の神殿です!」
ヒコ「何!?まさか突っ込む気か…、ええい、ヤツを止めろ!そんなことをされては取り返しが付かなくなる!!」
通信兵「無理です!この距離ではもう追い付けません!!」
ヒコ「なんだと!?仕方ない、総員一斉射撃!!やつが神殿に取り付く前に、なんとしても打ち落とせ!!」
クナ国兵士「ハッ!各員ターゲットロック!!」
側近「だめです!それではまるで我が軍が総攻撃を行ったかのように!!」
ヒコ「なっ!!!しまった、それがヤツ狙いか!!止めろ、撃つな!今の命令は撤回――!!!」
クナ国兵士「撃てぇぇぇ!!!」

ドォォォン!ドォォォン!

兵士「…これで全て計画通り…。あとはこの身をもって計を成就するのみ…」

兵士「…全ては、ソウエイ様の為に!!!!」


ズガァァァァン!!!………
 

〜神殿内部〜

???1「来たか…」
???2「ああ、ついにこの時が来たのだな…」
???3「フフフ、少しおしゃべりが長過ぎたかのう…さて、最後の仕上げじゃ!」

バンッ!

カイト「うわっ!いきなりかよっ!!」
???3「これだけの事を知れたんじゃ…今死しても悔いはあるまいて!!」

バンッ!バンッ!!

カイト「お生憎様!!…今やられたら、後悔しまくりなんだよっと!!」

ドサッ!

???2「奴め!操縦席に逃げ込むとは!」
???1「まずいぞ…奴はエッグを持っている!このままでは御剣を奪取されるぞ!」
???3「慌てるでない!御剣の起動システムはまだ凍結しておる!あれを持っていた所で動かすことは出来ん!」
???2「よし…なら今のうちに奴からエッグを取り返――」


〜コックピット内〜

カイト「やっぱり何も変わらない……ああ、思い出すな……初めてガンダムを見つけた時のこと…」
カイト「あの時は…何で俺にガンダムが動かせたか不思議だったけど…」
カイト「ははっ…今思えば当たり前のことだったんだな…」
カイト「だって…コイツの起動プログラムは………俺が作ったんだから!!!」

エッグ『コネクト完了。これより新規起動プログラムをインストールいたします。』
カイト「よし!こっちも…パイロットパーソナルデータ書き換え完了…パスワード更新…新規IDナンバー入力…プログラム転送率70…80…90…」
エッグ『新規起動プログラムインストール完了。メインエンジン起動します!』

ウィィィィン……!!!

???2「な…馬鹿な!御剣が起動した!?」
???3「何故じゃ!何故あの若造にそんなことが!?」
???1「まさか…。くそっ、これでは…」

カイト「今頃慌てても遅いぜ!さあ行くぞ…ガンダムEG250!!」
 

〜ヤの国・山岳地帯〜

ヒコ「なんてことだ…やはり罠だったか…」
通信兵「前方にヤ国機動兵器部隊展開!入電です!!…『我、汝ラニ報復セリ。我、汝ラニ報復セリ…』…これは…ヤの国は既に報復攻撃の構えをとっています!!!」
ヒコ「なんだと!すぐにヤの国に伝えろ!あれはギの国の仕掛けた罠だと!あの攻撃はソウエイの策略を阻止する為の、止むを得ないものだったと!」
通信兵「先ほどから電文を送っていますが…だめです!攻撃第一波、来ます!!!」
ヒコ「く!もう止められないのか…」
側近「攻撃、来ます!ヒコ様、ご命令を!!」

バシュゥン!!バシュゥン!!バシュゥン!!

ヒコ「……こうなったのも全て私の失策せいだ。皆…すまない!!…だがここで我々が退けば、次は我が故郷が戦乱の炎に包まれるだろう…。もはや止められぬものなら、今ここでヤの国を討ち、追って諸悪の根源たるギ国…ソウエイを討つ!そして我がクナがこの地を治めるのだ!!いいか、敵はヤの国だけではない!3機1組で、確実に敵機を撃墜しろ!無駄に戦力を消耗するなよ!無駄弾も撃つな!!」
クナ国兵士「ハッ!!!」

ヒコ「(ソウエイめ…貴様の術中に落ちたことは認めよう……だがこの首、そう易々とくれてはやらんぞ!!!)」

〜神殿最上階〜

護衛「姫!ご無事でしたか!」
ヒトヨ「私は無事です…でも、これは……一体何が起こっていると言うのですか!?」
護衛「攻撃です!クナの軍勢が、我が神殿に攻撃を!!」
ヒトヨ「ああ…そんな…。やはりこの平和も、長くは続かなかったのですね…」
護衛「さあ、ここは危険です!早くこちらへ!!」
ヒトヨ「!!そうだ、カイト!カイトはどこにいらっしゃるのですか!」
護衛「申し訳ありませんが、私は存じておりません!」
ヒトヨ「そんな…。なら、私はここでカイトを待ちます!!」
護衛「お止めください!もうここはいつ崩れてもおかしくないのです!早く避難を!」
ヒトヨ「いいえ…私はカイトを信じます!必ず私の元に来てくださると!」
護衛「お止めください!火の手がそこまで迫っております!ここで命を落とされては、もうに2度とそのお方と会えなくなってしまいますよ!」
ヒトヨ「!!もう…2度と……?」
護衛「ですから!早く!早くお逃げくださ―――」

ガァァン!ガラガラガラ…

ヒトヨ「きゃあ!!…あ、…ああ…そんな…」

ヒトヨ「…もう…終わりなのですか…?」
ヒトヨ「…カイト…こんな時に…なぜ貴方はそばにいては下さらないのですか…」

 カイト『君は僕が守るよ。いつか遠い未来、きっと平和な時代が訪れる…その時まで』

ヒトヨ「あの時の約束…守っては下さらないのですか…」

ガラガラガラ…

ヒトヨ「カイト………。カイトぉっ!!!!」

ガァァァァン!!!!


ヒトヨ「う……なにが……、!これは……手…?機械の…?」

『そんな大きな声出さなくても…ちゃんと聞こえてるさ』
ヒトヨ「!?」

ウィィィン…

カイト「さあ、早く乗って!!」
ヒトヨ「カイト!!ああ…来てくださったのですね……でも、その機械は…」
カイト「話は後だ!早く!!」
ヒトヨ「は、はい!」

タッタッタッ…

カイト「よかった…無事でいてくれて…」
ヒトヨ「カイト…申し訳ありません…私…もう…貴方は来てくれないのではないかと…」
カイト「俺の方こそ待たせてごめん…。でも約束したろ?君を守るって」
ヒトヨ「カイト…ありがとう…」
エッグ『カイト様!10時の方向から接近する部隊があります!』
カイト「くっ…やっぱり結局こうなるってのかよ!!」


〜神殿上空〜

ソウエイ「御剣…もう起動しているとはな」
ヒトヨ「これはギの者達…囲まれてしまった…?」
カイト「(思ったより行動が早い…くそ、もっと早くガンダムを動かすべきだったか)」
ソウエイ「御剣のパイロット、聞こえているか?」
ヒトヨ「ミツルギ…この機械はそういう名前なのですか…?」
エッグ『はい。私のデータには、我が国で秘密裏に開発された最新鋭の機体、我々の技術を結集した傑作…とあります』
ヒトヨ「そんなものが…この国で……」
カイト「…聞こえている。何の用だ!」
ソウエイ「!?子供…」

ソウエイ「…なぜ汝がその機体を動かせているのかはわからぬが、それは余のために用意されたものなのだ」
ヒトヨ「!?なぜ貴方の機械が、私の国で作られているのですか!」
カイト「姫、下がって!」
ソウエイ「なんと、ヤの姫まで共にしているのか…これは好都合というもの…。さあ、早くその機体と姫をこちらに渡せ!」


〜ヤの国・山岳地帯〜

ヒコ「ソウエイめ…ついに来たな……おい!戦況はどうなっている!」
側近「敵部隊はほぼ制圧、我が軍は3が撃墜、1が損傷、6が健在です!!」
ヒコ「こちらの兵力はあと6割か…よく持ってくれた」
通信兵「ヒコ様!神殿上部にギの国と対峙する機影を確認!音文照合…データありません!画像を拡大表示します!!」
ヒコ「何!これは…もはや狂言とも思っていたが…」
側近「あれが…ヤの国の新兵器…」

ヒコ「だが所詮一機で何が出来るというのだ……、皆のもの、ここが正念場だ!あの新兵器を破壊し、そのままソウエイを討つ!さあ、私に続け!!!」
クナ国兵士達「オオー!!!」


〜神殿上空〜


ヒトヨ「カイト…どうするのですか…?」

ソウエイ「どうした?さあ、今ならまだ汝を協力者として迎え入れてやることもできるぞ」


チャキ…

ソウエイ「…余に銃を向けるか…、それが答えかね?」
カイト「渡さない…。ヒトヨも…ガンダムも……、絶対に………誰にも渡さない!!!」
ソウエイ「そうか…ならば力をもって征すのみ!さあ、余の剣の前に跪け!!」

バシュゥン!!バシュゥン!!

カイト「なんだ!」
エッグ『これは、クナの軍の砲撃のようです』

ソウエイ「おのれ…もはや敗戦の将の分際で……この期に及んでまだ楯突くか!」
カイト「今がチャンスだ!逃げるぞ!!」
ソウエイ「クッ…追え!逃がしてはならん!!」


〜ヤの国・山岳地帯付近〜

カイト「機動性はこっちが上だ…このまま一気に振り切って――」
ヒコ「そうはいかんぞ!ヤの国の新兵器とやら!!」

ガァァァン!

カイト「クナのMS!?くそっ!…そこをどけよ!!」
ヒコ「逃がしはせんよ!今ここでお前を討たせてもらう!!」
カイト「こんなところで争ってる場合かよ!今は…アンタ等の戦うべき相手は俺達じゃないだろ!!」
ヒコ「なにを言うか!もうお前を討てばヤの国は倒れるのだ!大国を相手取る前に脅威となるものは排除する…これぞ兵法の常だろう!」
カイト「大人の癖に…この臆病者!!!」
ヒコ「何とでも言え!私は勝つために戦っているのだ!!」

ガシィン!!!

カイト「しまった!追いつかれたか!」
ソウエイ「クックック…敗戦の将でも、少しは役に立つか…これは礼を言わねばならんな。全機、御剣を拘束せよ」
ヒコ「ソウエイ…貴様っ…!!!」
ソウエイ「そう敵意をむき出しにするな…この機体を討ちたいのだろう?余は協力してやっているのだぞ」
ヒコ「戦渦を招いておいて何を言うか!その機体もろとも…貴様達もここで墜させてもらう!はぁぁぁぁっ!!!」
ヒトヨ「カイト!このままでは…」
カイト「…やるしか…無いのか…!!」
ヒコ「墜ちろぉぉぉぉっ!!!」
カイト「…カイトの名において承認する………コード『EaGerness』!!! 」
ヒトヨ「!!(その言葉は…)」

バシュゥン!!!

ヒコ「な、なんだ!…砲撃を…弾いただと?…この光は…一体…」
ソウエイ「なんと…御剣を動かすだけならまだしも…。あの少年、何者…」
ヒコ「ええい!ならばこの刀で、その首弾き飛ばすまで!!いくぞォォォ!!」
カイト「うぉぉぉぉぉっ!!!!」
ソウエイ「いかん!回避ッ…!!!」

ドォォォン!!

ヒコ「なにぃぃぃぃ!?」
カイト「道が開いた!よし、このまま一気に離脱する!!EG、シェルターまでのナビゲートを!」
エッグ『承知いたしました』

バシュゥゥゥゥ…

ソウエイ「まさか御剣を目覚めさせるとはな…。これは一筋縄では行かぬか…全機一時撤退。本国に増援を要請せよ。改めて御剣の奪還部隊を組織する!」

ヒコ「…くっ…まさかあれほどの力を隠していたとは……グッ…ガハッ!」

ヒコ「ハァ、ハァ……、ええい…この屈辱………忘れんぞォォォォッ!!!!!」


〜シェルター最深部〜

ヒトヨ「ここは…?」
カイト「国が戦火に包まれた時、権力者達がその身を守るために作らせたシェルターさ」
ヒトヨ「…そんなものまで…」
カイト「さあ、こっちへ………?」

カイト「姫?」
ヒトヨ「………貴方は…」

ヒトヨ「なぜ貴方は…こんなにも色々なことを知っているのですか…?」
カイト「え…」

ヒトヨ「…ミツルギのことも…この場所のことも…」

ヒトヨ「それにあの……いーがねす、という言葉……意味はよく分かりませんが…」

ヒトヨ「あれは昔…私が母上に教えていただいた……おまじないの言葉…」

ヒトヨ「…それをなぜ貴方が知っているのですか!?」

ヒトヨ「カイト…貴方は一体誰なのです!?…黙っていないで、私にも教えて下さい!!」
カイト「!いや…俺は………」


ヒトヨ「…いつもそうやって黙ってばかり…自分の事は何も話しては下さらない…」


ヒトヨ「…やっぱり…何も教えては下さらないのですか……?」


ヒトヨ「…カイト…貴方は私とお話しするのが嫌なのですか!?……私は…貴方のことを……お慕い申し上げておりますのに……うっ…うぅ…」

カイト「…ヒトヨ…」
ヒトヨ「…うっ……ううっ……」

ぎゅっ…!

ヒトヨ「あっ…!?」

ヒトヨ「んむっ…」
カイト「(ヒトヨ…)」

ぎゅぅっ…



…スッ…

ヒトヨ「…あ…、あの…カイ…ト…?」
カイト「…俺達の言葉では…キスって言うんだ…」
ヒトヨ「き…す…?」

カイト「私は…貴方のことをお慕い申し上げております、ってことさ」
ヒトヨ「え…!」
カイト「ずっと黙ってばかりでごめん…でもいずれ全てがわかる時が来る…だから…それまで―」

ドドォォォン……

エッグ『熱源反応多数。マスター、この施設は完全に包囲されてしまっています!』
カイト「…もう時間か…。さあ、この中へ!」
ヒトヨ「え、ああ、あの…」
カイト「心配ない。ちょっと眠るだけだよ。そうすればきっと…君の望んだ、争いの無い平和な時代に生きれる」
ヒトヨ「本当……?でも、カイト、貴方は…」
カイト「俺は、君を守らなきゃ」
ヒトヨ「一人で戦うおつもりなのですか!?そんな無謀なこと―」
カイト「無謀じゃない。大丈夫、俺を信じて」
ヒトヨ「でも!」
カイト「全てが終わったら、必ず君を起こしに来る。だから、それまで、おやすみ…」

ピッ!

ヒトヨ「あっ、カイト!カイ―!!」

シュゥゥゥゥゥ…ガコン!


カイト「…さて、と」
エッグ『大丈夫とは言っておられましたが…この反応、敵機は相当な数です。それらからここの施設を守りきれるとは思えません』

カイト「…いや、絶対に守れる」
エッグ『…なぜそう言えるのです?』
カイト「なぜって……それは…」


カイト「俺が今…この場所にいるからだ!!」

―そして、物語はカイ達の時代へ―


機動新時代ガンダムSaga  
最終回 〜新しい時代へ…〜

ソウエイ「ぬおおおおお!離せぇぇぇ!余は…余はこの時代でこそ天を掴むのだぁぁぁ!!」
カイ「EG250も限界か…! やるしかない…! いや、やらないといけない…!」
EG『カイ!お前、まさか…!』

カイ「アニー!ジャイロのことを忘れろとは言わない!…でも、前を向いて進むんだ!」
アニー「カイ…」

カイ「ヒコ!俺の姉ちゃん、幸せにしてやってくれよ!」
ヒコ「カイ…」

カイ「親父、お袋、姉ちゃん!今まで迷惑かけて…ごめんなさい!」
三人「カイ…」

カイ「…EG…お前とは長い付き合いだったな。…俺がいない間、ヒトヨを頼む…」
EG『やはり行くのか…。―――…さっさと戻って来い。でなければ、俺が姫を貰うぞ』
カイ「ハハハッ!させないよ!」

ヒトヨ「カイ…やはりあなたは…」
カイ「その先は言わなくていい…。―――…いってきます、ヒトヨ…」
ヒトヨ「いってらっしゃい…。戻ってくる日を…心待ちにしております…」

ソウエイ「ぬぐぅぅ…! 出力が異常上昇しているだと!? こ、このままでは空間が歪む…!」
カイ「ソウエイ、アンタの夢のために沢山の人が死んでいった…。これからそれを償って生きろ!」
ソウエイ「な、何ィィィ!?」
カイ「EG250・フルドライヴ!!最後のコード…『Saga』発動!!」

キィィィィン…!
 

〜カイとソウエイが光の中に消えてから一年が経過した…〜
テーマBGM:http://nicosound.anyap.info/sound/nm4367320

カイ父「ふぅ…まさかこんなに遺跡が埋まっているなんてな…」
カイ母「これは一生発掘作業で生きていけそうね!あなた、まだ老け込むには早いわよぉ!」

ヒコ「…よくよく考えてみれば、あれは人違いなどではなかったのだな…」
カイ姉「どうしたの、ヒコ…?」
ヒコ「いや、なんでもない。貴女の弟殿は本当に勇敢で聡明だ」
カイ姉「ふふ…もうすぐ貴方の弟にもなるでしょう? …早く見つけてあげないとね!」
ヒコ「ああ…そうだな…」

アニー「ヒトヨ!私はちょっと休憩入れるね!あんたも無理するんじゃないよ!」
ヒトヨ「はい!あと1ポイント探索したら私も上がります!」

EG『姫、あっちで面白いものを発見しました』
ヒトヨ「面白いもの…? 何なのです、EG?」
EG『百聞は一見にしかずですな。こちらへ…』

ヒトヨ「これは…カプセル?」
EG『しかもタイマー式…一年前では絶対に開かないようなシステムが組まれています』
ヒトヨ「…帰って…きたのですね…」
EG『それは開けてビックリ玉手箱…さあ、どうぞ』
ヒトヨ「はい…!」

ガシャン… プシュウウウ…

???「―――――」
???「…!(ムクリ…)」
???「…っ痛…、急場拵えは寝心地悪いか…」

ヒトヨ「おはようございます…。そしてお帰りなさい…」
カイ「―――…おはよう。そしてただいま…。約束通り、帰って来たよ」

 

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