県間戦争エピソード2

〜県間戦争最終期…東北・関東連合vs中部連合戦〜

マサジロウ(ダテ・ガンダム)「長きに渡る戦ももはや終わりか…。ようやく夜明けの日が来るのじゃな…」
ヒバ(ジム・ホークアイ)「最後は他国の武力介入で勝利者などいないまま終結…戦いってのはこんなもんだべ」
キビ(ガンダムビャッコ)「ですがまだ戦は完全には終わっていません。聞けば、中部連合は核兵器を搭載したMFを開発しているとか…」
マサジロウ「うむ…それが火種となり夜明けが先伸ばされる可能性もあるやも知れぬ…。ワシらが最優先すべきはそれの破壊じゃの…」
ヒバ「最後の最後まで命がけだべ…。―――それより、合流予定の関東部隊はまだだべか?」
カムイ(ザク・ヌイ)「……センサーに反応…来ました……」
キビ「集合時間は大幅に遅れているぞ!一言文句を言ってやる!」

キョウイチ(ガンダム・ナンバーワン)「ウィーッス、東北軍の諸君!待たせたな!!ヒーロー、キョウイチ・サイトウ只今参上!!」

キビ「なっ!お…お前は…!!どういうつもりだ!関東軍は我々を馬鹿にしているのか!?」
マサジロウ「ほっほっほ、まさかお主が合流部隊とはな…。頼もしいことじゃて」
キョウイチ「おっ!じいさん、相変わらず元気そうだな!嬉しいぜ!鷹も虎も久しぶり!おめーらも変わらねぇなぁ!」
ヒバ「相変わらずなのはおめもだべや。…一応遅刻の理由を聞いておくべ」
キョウイチ「…いやね、俺の子供の妹の方が将来『パパかお兄ちゃんの強い方と結婚する』って言ってたからよぉー」
キビ「そんなことで!?ふざけているのか!?」
ヒバ「…で、息子さんに花を持たせてあげたわけだべな?」
キョウイチ「いや、全力で泣かしてやった」
マサジロウ「最低の父親じゃのう…」
キョウイチ「いいじゃねぇか!叩かれて叩かれて強くなるんだよ、オトコノコは!な、ボウズ?」
カムイ「……………」
キョウイチ「あらら、シカトされちゃった。俺って嫌われてるのかな?」
キビ「当たり前だ!お前のようなふざけた男など誰が好きになれるか!!」

キョウイチ「おっ、君かわいいねぇ!後でお兄さんとどっか遊びにいかない?」
ミナミ(オペレーター)「ええ!?こ…困ります!!」

キビ「人の話を聞けえっ!!」
マサジロウ「ほっほっほ、さて…空気も解れたところで行くとするかの。キョウイチ、頼りにしとるぞ」
キョウイチ「任せな、じいさん!核兵器なんてクールじゃねぇモンは俺がぶっ壊してやる!」


〜中部戦線〜

関東兵「第一防衛線突破されました!!後退します!!」
東北兵「だ…駄目だ!あのガンダムが止まらない!!撤退急げーっ!!」

マサジロウ「ぬぅ…!あれが核兵器搭載型MF…オバマガンダムか!」
ヒバ「まずいべや、あの超火力で陣形はバラバラだべ。一度退いて立て直すしかねぇべ」
キビ「くっ…!どうしてこう最後の最後に厄介なものを造り上げるんだ!」
キョウイチ「言ってる場合じゃねーぜッ!敵さん、調子に乗ってどんどん攻め込んで来やがる!!」
マサジロウ「どれ…ここはワシが殿を務めるとするかの…。お主らのような若人を失うわけにはいかぬ」
キビ「先生!?先生は生きてください!!貴方を失うわけにはいかない!!」
ヒバ「言い争ってる暇はねぇべや!ここは鷹に―――」

カムイ「……俺に任せてください……」

キビ「カムイ!?き、君は駄目だ!君のザクは既に脚部を損傷しているじゃないか!!」
カムイ「……だからこそ、です…。…手負いの兵は捨て置くべきだ…。…大丈夫、足止めぐらいは成し遂げます……」
ヒバ「何を言ってるんだべ!!死ぬ気か!?」
カムイ「……………」
マサジロウ「…ゆくぞ…キビ、ヒバ…。どうやらそれが最善の選択のようじゃ…」
キビ「し、しかし…!」
マサジロウ「聞き分けい!!」
キビ「…っ!」
マサジロウ「カムイよ、ここは任せた。…しかし、必ず死んではならぬ。何としてでも生き延びよ。よいな?」
カムイ「……了解……」


キョウイチ「……………」


〜数分後〜

テンザン(シラカワガンダム)「修羅の如き戦いぶりだな、小童。敵として出会ったのが無念でならぬ…」
カムイ「(………完全包囲されたか…。…しかし、追撃部隊の足止めには成功した……)」
テンザン「わしにもお前より少しばかり下の娘がいる…。このまま討つのは心苦しい…」
テンザン「投降せい。もはやこのような互いの上層部の意地だけの戦には何の意味も無い…」
カムイ「……断る…。…俺は戦士だ…。…服従するくらいならば…死を選ぶ……」
テンザン「真に遺憾…。―――全軍構え!!」

???「待ていッ!!」

テンザン「ぬぅ!何奴ッ!?」


キョウイチ「やあやあ!遠からん者は音に聞け!近くば寄って目にも見よ!我こそはネオ埼玉の勇者!」

バッ

キョウイチ「天上!」

バッ

キョウイチ「天下!」

ババッ

キョウイチ「唯我最強!!」

シュピーン

キョウイチ「キョウイチ・サイトウ!!人呼んで無敵のサイキョウだぁ!!」

テンザン「出おったな!!関東の卑怯者めが!!今日こそ成敗してくれるわ!!」
キョウイチ「おいおい、そんなに怒るなよテンちゃんよ!前はちょっと調子に乗りすぎただけだって!」
カムイ「……何をしにきた……?」
キョウイチ「何を…って決まってるだろ?お前を助けに来たのさ!」
カムイ「…何…?」
テンザン「がっはっはっはっは!笑わせるわ!たった一機で何ができる!―――全軍構え!!」
キョウイチ「あ!サキちゃんがあっちで人質にとられてる!」
テンザン「何ぃ!?」
キョウイチ「はっはっはー!かかったな、アホが!!サイキョウフラッシュ!!」

カァッ!!

テンザン「ぬぅおおお!?」
キョウイチ「じゃ、あーばよぅ!とっつぁーん!」
カムイ「何をする…! 俺は撤退など…!」
キョウイチ「うるせぇ!ここはお兄さんに従っとけ!!」

ダダダダダダ…

テンザン「おのれ、相も変わらず小賢しい真似を!!」
中部兵「反応ロスト!?…くそ、なんて速い逃げ足だ…!」
テンザン「慌てるな!もはや小童のガンダムは行動不能!手負いを抱えて遠くまでは逃げれぬ!」
テンザン「探せ!!今こそ埼玉の翔龍を討ち取る好機だ!!」
テンザン「(これ以上、ネオ福井にオバマガンダムを戦火を広げられるわけにはいかん…!)」
テンザン「(何としてもわしらの手で蹴りをつけねば…)」


〜森林〜

中部兵A「いたか!?」
中部兵B「いや、次はこっちを探そう!」

キョウイチ「チッ…見つかるのも時間の問題だな…。こいつはヘヴィだぜ…」
カムイ「……何故、俺を助けた?…こんな危険な状況に陥ってまで……」
キョウイチ「仲間を助けるのに理由なんかいらねーよ。例え相手が生意気なガキでもな」
カムイ「……戦士としては愚かな判断だ…。…もはや戦力にならない者を救助するなど……」
キョウイチ「ああ、俺は自分で言うのも何だがバカなんでね。だけどよ、ここで見捨てて逃げりゃあ俺は最強じゃなくなっちまう」
カムイ「……あの時から気になっていたが…お前の中の最強とは何なのだ……?」
キョウイチ「自分が自分であることさ。やりてぇことはやる。やりたくねぇことはやらない。…それを貫き通す…それが最強ってことだ」
カムイ「……………」
キョウイチ「ボウズよぉ、おめーも自分ってのを見直してみな。アイヌの英雄じゃねぇ、ネオ北海道の戦士でもねぇ、カムイ自身の意思をな」
カムイ「……俺の……」
キョウイチ「そいつぁ決してあそこで死ぬことじゃあなかったハズだ。お前にはやりてぇことがまだまだ―――」

中部兵A「いたぞ!!」
中部兵B「ポイント・Dだ!!急げ!!」

キョウイチ「クッソー、空気の読めない連中だこと。ボウズ、おめーは逃げろ!こっから先は交代だ!」
カムイ「し、しかし…」
キョウイチ「早くしやがれ!!俺の心配してる暇があんならちったぁ愛想良くする方法でも考えてるんだな!」
カムイ「くっ…!死ぬなよ、キョウイチ・サイトウ!」

ダダダダダダ…

中部兵A「ザクタイプが逃げたぞ!!」
中部兵B「放っておけ!今はガンダムの方が先だ!!」

キョウイチ「へっ!かかってきやがれ!!このキョウイチさんは負けないんだぜ!!」

カムイ「(…ヌイも限界か…。再び戦闘に戻れば足手まといとなる…)」
カムイ「(…これでいいのか?…カムイは、これで納得するのか…?)」
カムイ「(頭ではこれでいいと判断している…しかし、心では…)」

ブチッ

カムイ「………こちら、カムイ。…本陣、応答願います……」
通信機『おお、カムイ!生きておったか!安心したぞ!』
カムイ「……自機ザク・ヌイは活動限界…。これ以上、作戦行動を続行は不可能……」
通信機『よい!お前さえ生きていればな!撤退せい!』
カムイ「……いえ、作戦行動を続行する理由があります…。ガンダムの起動許可を……」
通信機『なっ…!ば、バカを言え!あれはネオ北海道の切り札!ここで出撃させるわけには…』
カムイ「……起動不可能の理由がそれであるならば、独自の判断で呼ばせていただきます……」
通信機『ぬう…!だが、あれはまだエペタムを搭載しておらぬ未完成機で…』
カムイ「……問題ありません。起動します。…通信、終了……」
通信機『ま…待て、カムイ!!これはネオ北海道の覇権に関わる―――』

ブチッ

カムイ「知ったことか…。貴様らの権力争いなど…」
カムイ「…ヌイ…今まで世話になった…。下ろしてくれ…」

ズン… シュウウウ…

カムイ「……俺のやりたいことが…わかった……」

カムイ「来い、シャクシャインガンダム…!」


〜森林〜

ヒュンッ ヒュンッ

中部兵A「くっ!動きこそはそうでもない癖に、攻撃が当たらない!」
中部兵B「まるで我々の思考が読まれているかのようだ!」

キョウイチ「次にお前は『そんな馬鹿げたことがあるわけない』と言う」

中部兵A「そんな馬鹿げたことがあるわけないッ!!―――ハッ…!」
中部兵B「ヒィッ!や、やはり…!」

キョウイチ「なぁ、てめーら…ニュータイプって知ってるか?あの伝説の超能力者をよォ!」

中部兵A「ま、まさかこいつ…ニュータイプ!?」
中部兵B「そ…そんな…俺たちがそんな相手に勝てるわけが…!」
テンザン「ええい!乗せられるな!虚言で敵を謀るは奴の常套手段よ!恐れるんじゃない!」
キョウイチ「おいおい、ノリ悪いなテンちゃん!そんなんじゃいずれサキちゃんに『面白くないパパなんて大嫌い!』って言われちゃうぜ!」
テンザン「な、何!?それは困る!!―――ハッ!き、貴様!何を言うか!!」
キョウイチ「はっはっは!あんたも引っかかってんじゃねーか!部下のこと言えねーぜ!」
テンザン「ぬぅぅ…!乱されてはいかんというに、つい引っ掛けられてしまう…!」

ズン…

スノッチ(オバマガンダム)「これがネオジャパンのウォーズか…。随分と程度が低いのだな」
テンザン「むぅ!オバマガンダム!これ以上貴様に日の本の地を破壊されるわけにはいかん!下がっておれ!」
スノッチ「随分な言われようだな。私はネオ福井の戦士だ。ジャパンを愛する心はお前に引けを取らんつもりだが?」
テンザン「よく言うわ!先ほども森を燃やしおって!我々が消火にどれだけ苦労したか知っておるのか!?」
スノッチ「あれが合理的だったからそうしたまでのこと…。―――さて、そろそろあの男も目障りだな…。潰すか」
テンザン「ま、待て!!また森を燃やす気か!?」
スノッチ「たった一機にそんなものは必要ない。オバマガンダムの接近戦をお見せしよう」

キョウイチ「へっ!今度はデカブツかよ!ちょっとメタボリックじゃね?痩せた方がいいんじゃねーか?」
スノッチ「貴様の言葉には耳を貸さん。いけ、ズワイガニ!!」
キョウイチ「げぇッ!ガンダムの背中からカニの足が!?」

ガキッ メキメキメキ…

キョウイチ「ぐああああああッ!!」
スノッチ「捕らえたぞ。口ほどにもない…。所詮、お前には無理だったのだ」
キョウイチ「痛ででで!は、離しやがれコンチキショーめ!!」
スノッチ「いくら足掻いても無駄だ…。このまま締め殺してくれる!!」
キョウイチ「うごおおおお…!」

メキメキメキメキメキ…

スノッチ「さて、後少し締めれば貴様を排除完了するわけだが…最後に言い残すことはないか?」
キョウイチ「ハァ…ゼェ…ハァ…、………りだ…」
スノッチ「ん?何と言った?」
キョウイチ「へっ…てめーにゃ無理だって言ったんだよ…!このスカタン…!」
スノッチ「貴様…!ならば死ねッ!!」

グォオオオ…

カムイ「コンル・フィンガアアアアアッ!!!」
スノッチ「何ッ!?ガンダムがもう一機!?ぐおあああああッ!!」

バキィッ!!

カムイ「無事か!?キョウイチ・サイトウ!!」
キョウイチ「ヒュー!助かったぜカムイ!それが新しいお前の機体か?ゴキゲンだね!」
カムイ「……心配するだけ無駄だったか……」
スノッチ「ぐううう…!ゆ、許さん、許さんぞ!よくも私のオバマガンダムに傷をつけてくれたな!」
スノッチ「この腐れジャパニーズどもがッ!!全て消し去ってくれる!!このアトミックバズーカでな!!」
テンザン「やめろ、スノッチ!!核を使ってはならぬ!!」
スノッチ「シャラップ!私がジャパニーズに攻撃を加えられるなど…あってはならぬのだァ!!」
キョウイチ「核だと?やれるもんならやってみろよ、デカブツ」
スノッチ「何…?これがハッタリだとでも言うのか!?」
キョウイチ「へっ、もう一度言ってやるぜ」

キョウイチ「てめーにゃ無理だ」

スノッチ「(ブチッ)うおおおおおーーーーーッ!!!」
テンザン「や、やめろぉぉぉーーーーッ!!」

ガァン!

スノッチ「かはっ…!」
テンザン「オ、オバマガンダムの頭部が!?…これはっ!」

〜〜〜〜〜〜〜〜〜

ヒバ「やれやれ…キョウイチにはお見通しってわけかい。やっぱ只者じゃねぇべ」

〜〜〜〜〜〜〜〜〜

キョウイチ「な?無理だって言ったろ?」
カムイ「…上手い…。…挑発して長距離狙撃から注意を逸らさせたのか…」
キョウイチ「どうよ、カムイちゃん!俺の完璧な作戦は!」
カムイ「……戦士としては最低…。…しかし、今の俺たちにとっては最高だ……」
キョウイチ「サンキュー!さあて、反撃と行こうか!!」
カムイ「……了解、シャクシャインガンダムの力を見せてやる……」


テンザン「くっ!ガンダムが二機相手ではやはり部が悪いか!」
キョウイチ「よォーよォー!テンちゃん!そこのデカブツ担いでとっとと逃げた方がいいんじゃね?」
テンザン「ふん!言われなくてもそうするわ!覚えておれよ!いつかギャフンと言わせてやる!」
キョウイチ「はっはっはー!じゃ、せいぜい長生きしろよな!サキちゃんにヨロシク!」
テンザン「軽々しく娘の名前を呼ぶな!!―――…それと…」

テンザン「貴様のお陰で核兵器の使用は防がれた…。そこだけは礼を言っておく…」
キョウイチ「えー…オッサンのツンデレは気持ち悪ィ…。ないわ…」
テンザン「ぬぅぅ!礼の言い甲斐のない男だ!―――全軍後退!防衛戦に徹するぞ!!」
中部兵A「了解!撤退急げ!!」
中部兵B「オバマガンダムの回収を忘れるな!ファイターも無事だ!」

ザザザザザザ…

キョウイチ「はっはっはー!見ろよ、あいつら尻尾巻いて逃げてくぜ!!」
カムイ「…ああ、気分がいいな…」
キョウイチ「だろ?やっぱ、自分で選んだ戦いってのはそういうもんだ!」
カムイ「……そうだな…。…重荷が無くなった気分だ……」

カムイ「………キョウイチ・サイトウ、頼みがある………」
キョウイチ「だが断る」
カムイ「……やはり、俺とも戦ってくれないのか……?」
キョウイチ「今のお前と俺じゃあ勝負にならねーよ。そのガンダム、使いこなせるようになってから俺に挑みな」
カムイ「……その時…お前が既に戦えなくなっていたとしたら……」
キョウイチ「万に一もそんな可能性はないだろうが…そうだな、もしそんなことがあったら…」


キョウイチ「俺のガキとでも戦えばいいさ。平和な時代でな…」


各地の内紛も増加し、県間での亀裂が生じ始める・・・
県間戦争が勃発するのも時間の問題となった・・・

〜ネオ愛知〜

ヒデナダ「最終の・・・決定が迫るが・・・」
テンザン「決して許されぬやり方だったが・・・わしの国の内戦はあらかた収まった。・・・しかし、時すでに遅かった・・・」
ヒデナダ「やはり、戦争は免れないのか・・・・・」
ヒサナ「各地での開戦の声は高まっています・・・。それも・・・あなたを筆頭にし軍備の拡張がすでに完了していると・・・」
ヒデナダ「その地のトップは祭り上げられるためにある・・・。私とてその例に漏れないであろう。」
ヒサナ「ですが・・・ネオ愛知は各地の技術提供で協同を強めてきました・・・!最後まで中立であれば・・・!」
テンザン「お前さんの国の技術に他国は大いに助けられてきた。・・・中立の立場で戦場を分かつことができれば・・・戦火を食い止めることができるやもしれん」
ヒデナダ「それが一番望ましい・・・が、現実はそう簡単ではない・・・。現段階では散乱している勢力がいずれ二つに分かつとき来るならば・・・双方からの圧力に晒される・・・」
テンザン「そうならない前にわしが各国にできるだけ取り繕いを・・・!」
ヒデナダ「しかし・・・幾ら技術力が秀でていたとしても、たかが一国の力だ。戦争を止めるなど、天災に抗う険難に等しい・・・」
ヒサナ「あなた・・・」
ヒデナダ「私は、このネオジャパンが東西の勢力で二分すると見ている・・・」
テンザン「かつての戦国時代・・・天下分け目の大戦か・・・」
ヒデナダ「複数勢力を構えたとて、このネオジャパンは少し厄介な形状をしている・・・」
ヒサナ「他国との挟撃に合いやすい・・・のですね」
ヒデナダ「形はどうあれ・・・決定的な分裂が起きるのが、ここ東海の地域になるのは間違いない・・・!」
テンザン「それはネオ岐阜か、愛知か、はたまた三重か・・・」
ヒデナダ「だから・・・ネオ愛知はどう振舞うべきなのか・・・私は・・・」
テンザン「お前さんの国は内紛がまったくと言っていいほど起きておらぬ・・・お前さんの人徳故か・・・この地に住まうものがいかにお前さんを信頼しているかがわかる・・・はっはっは、われながら羨ましい限りだ!!」
ヒデナダ「テンザン・・・ははっ私は何もしていないよ・・・ただ、皆が楽しく暮らせればいいと、そう願っていただけだから」
ヒサナ「あなたの苦労は私が一番知っています。・・・その立場を省みず人々と触れ合うあなたの姿勢の賜物です」
ヒデナダ「そう・・・私は国の人々が大切だ・・・だから、私一人の一存で・・・戦争という悲劇に巻き込むわけにはいかないのだ・・・」
テンザン「それは、国を預かる者の全員が思っていることだ・・・だが、国ごとに散らばっている正義がぶつかるからこそ・・・戦争が起きてしまう」
ヒデナダ「私の信じる正義が・・・他の国の悪と・・・」
テンザン「別に悪と言っているわけではない・・・戦争に悪はないのだよ・・・あるとすれば・・・負けた者に貼られる・・・残酷なレッテルだ」
ヒデナダ「テンザン・・・私はどうすればいい?」
テンザン「・・・・・わしは、お前さんに託すぞ。この最終決議の前から決めとった。わしとお前さんが切っても切れぬ縁だと言うなら・・・ネオ岐阜とネオ愛知も似たようなものだ。わしはお前さんにありったけの力を貸す。お前さんは、自分が信じた道を進むだけだ・・・!」
ヒサナ「私はずっとあなたのそばにいる覚悟です・・・!」


ヒデナダ「テンザン・・・ヒサナ・・・ありがとう。私は、・・・できる限り戦争を止めたい。それは・・・私にしかできないことだと思うから・・・」
テンザン「ふん、思ったとおりの答えだな・・・やはりもっとも険しい道を選ぶとは・・・」
ヒサナ「ですが・・・私はかまいません。どこまでもあなたと共に・・・!」
ヒデナダ「すまぬな。・・・・・だが、シュウヤ・・・シュウヤをそばに置くわけにはいなんな・・・」
ヒサナ「シュウヤは・・・まだ子供ですが、もうそれなりの分別がついている年頃です。きっとあなたの・・・」
ヒデナダ「ならぬな・・・史上最悪の激戦となると予想するは容易い・・・私もそれなりの覚悟で挑む・・・それをシュウヤに巻き込むことは・・・できない」
ヒサナ「あなた・・・」
ヒデナダ「・・・そして、ヒサナ・・・お前にも悪いが・・・」
ヒサナ「何を仰いますか!生涯を共にすると誓いましたのに!・・・まさか帰ってこられぬとお思いですか?」
ヒデナダ「無論そんなつもりは毛頭ない。・・・だからこそ、安心して帰ってこられる場所を、お前とシュウヤで守っていてほしい!」
ヒサナ「ですが・・・!」
テンザン「ヒサナさん・・・察してやってくれんか・・・人はな・・・特に男はな・・・自分がどんなに苦しくても愛したものが笑っていればそれで十分救われるのだよ。逆に、愛するものが苦しんでいたら、その倍、苦しくなるんだ・・・だからこそ、確固たる覚悟で戦場に立てるのだ・・・!」
ヒデナダ「相当奥方と話し合ったようだな・・・今まであえて触れなかったが、その頬、彼女に打たれたな?」
テンザン「はっはっは!まさにそうだ!どれだけダメだといってもついて行くの一点張りだ!最後は思いっきり引っぱたかれて、『文句は帰ってきてから聞きます!!』だとな!がっはっはっは!!」
ヒデナダ「いつも話には聞くが、相当肝の据わった奥方だな・・・あのおとなしいサキちゃんもいずれああなるのかもな」
テンザン「がっはっはっは!まぁ、どうであれわしのこと嫌いにならなきゃそれでいいがな!!」
ヒデナダ「ふっ、娘は・・・きついと思うぞ?」
テンザン「なっはっはっは!それはホント勘弁してほしいわ!!・・・・・というわけなんだ、ヒサナさん。あなたは立派にヒデナダの居場所を守ってやれる!シュウヤの坊主とな!・・・だから、奴の言うことも」
ヒサナ「・・・わかっておりました。・・・最初から・・・わかっておりました。あなたが私たちを守ろうとしていたことを・・・・・ただ、頭ではわかっていても・・・どうしても・・・どうしても・・うっ・・ふぅ・・・」
ヒデナダ「ヒサナ・・・」
ヒサナ「ふっ・・うぅ・・・だ、だから・・・ぅ、必ず・・・還ってくると・・・や、約束していただけますか?」
ヒデナダ「もちろんだ・・・わが生涯に誓って!」
ヒサナ「ありがとうございます・・・!」
テンザン「ヒサナさん・・・心配せんでいい。わしがこいつを絶対死なせん!」
ヒサナ「はい・・・!」
ヒデナダ「こちらからも礼を言う・・・ヒサナ、待っていてくれ。」
ヒサナ「・・・シュウヤ・・・シュウヤにも何か・・・」
ヒデナダ「あっちの部屋だったな。少し席を外す・・・」
ヒサナ「はい・・・」
テンザン「(シュウヤの坊主は確かサキと同じくらいだったな・・・あの歳に突きつける現実にしちゃ過酷過ぎるな・・・サキには毎晩泣かれたしな・・・)」 


 

ヒデナダ「シュウヤ・・・話は決まった・・・よく聞いてほしい」
シュウヤ「おとん!まってたがや!ぼくつかれちゃった!」
ヒデナダ「シュウヤ・・・お前とはしばしお別れだ・・・母さんの言うことをよく聞いていい子にして待ってるんだぞ?」
シュウヤ「え?・・・おとん・・・え?・・・おわかれ?・・・な・・・」
ヒデナダ「お前たちを危険な目に合わせないためだ・・・わかってくれ・・・!」
シュウヤ「な、なんで!?・・・おっかぁ、だいじょうぶたっていってたがや!!」
ヒデナダ「・・・・・すまぬ。」
シュウヤ「それにおっかぁいってたぎゃ!!せんそうはみんなないちゃう!みんないなくなっちゃうって!・・・おとんせんそうにいったらきえちゃうがや!!」
ヒデナダ「シュウヤ、お父さんは消えない!だから安心して・・・」
シュウヤ「やだ!やだやだやだやだ!!おとん!いっちゃやだ!!きえちゃやだ!!」
ヒデナダ「シュウヤ・・・」
シュウヤ「やだ!や・・・だ・・・よぅ・・・ひっぐ、えぐ・・・」
ヒデナダ「シュウヤ・・・男がこんなことで泣いてどうする?長く分かれることは今までもあったじゃないか。それにお父さんはちゃあんと帰ってくる・・・もし泣き虫小僧のままだったらお父さんがっかりするじゃないか」
シュウヤ「うっ・・・グスっ・・・なかなかったらかえってくるがや?」
ヒデナダ「あぁ。そして強くなって目立つようになったらお前がどこにいるかすぐにわかるから、道に迷わず帰ってこれるかもな!」
シュウヤ「つよく・・・めだつ?」
ヒデナダ「何事にもくじけず、そして人を惹きつけ支える強さを持て!」
シュウヤ「わかった!ぼく・・・めだつ!めだっておとんにぼくがどこにいるかおしえてやるがや!!」
ヒデナダ「いや違う、強くなって・・・ふっ、まあいいか。シュウヤよ・・・お母さんを頼むな?」
シュウヤ「わかったがや!!」
ヒデナダ「(お前の成長・・・楽しみにしているぞ)」



しかし、戦争は残酷で・・・シュウヤの父ヒデナダは・・・
目立てば父は帰ってくる!そう信じ、目立つことを何よりも大事にしてきた
死を理解できるようになっても、目立つたびに心のどこかで父の面影を探して・・・


ヒデナダの願いも虚しく、県間戦争が幕をあけた

テンザン「ヒデナダよ、ネオ愛知の軍備はほぼ終了しているのだな?・・・となれば、後は志を共にする国を集めるだけだ。いくつかわしが声をかけて・・・」
ヒデナダ「・・・いや、それはならぬ。これはただ一つの敵と真っ向に戦うだけの戦争ではない。あらゆる武力の弾圧、攻撃の矛先となる、戦争以上に厳しい戦いだ・・・こちらの意向を押しつけてはいけない・・・自発的な意志にのみ私は委ねたい・・・テンザン、お前のようにな」
テンザン「はっはっは!いやぁ、すばらしいほどに頑固だな!ま、確かに普通に戦うより苦しいものだからな・・・だが、そうだとして・・・一体どれだけの仲間が集まるか」
ヒデナダ「我がネオ愛知は、どこにも属さず中立を貫く姿勢をすでに声名として発表している・・・あとは、それに応えてくれる者がいれば・・・」
テンザン「すでに四国、東北では同盟ができつつあり、勢力が拡大し始めている・・・我らの勢力が敵と認識されるならば・・・」
ヒデナダ「戦力を拡大すれば圧倒的物量で制圧され、現段階の規模では・・・時間の問題か・・・しかし、戦況が覚束ない今ならば、戦火を縮小することができ―――!?誰だ!」シュッ!!
???「・・・ちぃ!」バッ!
テンザン「何奴・・・!ん・・・?子供?」
ヒデナダ「これほど厳重に隔離されているこの部屋までたどり着くとは・・・お前、相当の手練だな・・・」

アオバ「・・・・・抜かった」

テンザン「おぉ!たった一人とは、子供のくせによくやるのう!・・・あれか?ヒデナダの暗殺にでも来たんか?」
ヒデナダ「その身なりからして・・・忍びか。ここに何をしにきたのか・・・聞かせてもらおうか?・・・場合によっては・・・!」
アオバ「・・・」パサッ!
テンザン「ほう・・・丸腰になったか・・・敵意はないのじゃな。・・・というより何かしゃべらんか!お前さんは用があって来たんだろ?はっきり言わんと伝わるものも伝わらんぞ!!」
ヒデナダ「(忍び・・・伊賀か甲賀の者か?・・・だがなぜ私のところに・・・)」
アオバ「・・・・・これを・・・渡すよう命じられた・・・」スッ
テンザン「ん?・・・文か?ほれ、ヒデナダ」
ヒデナダ「・・・これは・・・!」
テンザン「・・・どうしたヒデナダ!ちょっとわしにも見せんか!!」
ヒデナダ「・・・・・この割印・・・伊賀忍軍当主の印・・・!まさか!」
アオバ「・・・そのまさかだ・・・わが父、伊賀忍軍当主の公文書の答えを、・・・ネオ愛知特殊自衛軍代表、ヒデナダ・ハシバ・・・お前から直に受け取るのが・・・私の任務」
テンザン「なんじゃい坊主!口の利き方に気をつけんか!!・・・だが、驚いたな・・・まさか伊賀忍軍当主からこんな・・・」
テンザン「答えはもちろん決まっている・・・『貴殿の申し出、謹んでお受けいたす。このハシバと志を共にしていただくこと、感謝する』とな」
アオバ「・・・・・了解・・・これで私の任務は終了だ・・・さらば!!」シュバッ
テンザン「おい!次合う時までに言葉遣いを学んで来い!!・・・って行ってもうたか・・・」
ヒデナダ「・・・・・まさか、ネオ三重が賛同してくれるとは・・・まったく予想はしていなかった」
テンザン「わしもだ。あそこは他県との接触を断ち、情報も一切出回らん・・・内情もわからんからな、今回のことはさっぱりだ・・・」
ヒデナダ「だが、この状況を理解した上で我々に賛同してくれたのだ・・・ネオ三重か・・・これで戦争を止める道に一歩近付くいたわけだな・・・!」
テンザン「ネオ愛知、岐阜、三重か・・・がっはっは!!なんなら名を『東海同盟』とするかな!!これはなかなか面白い・・・!!」
ヒデナダ「テンザン!・・・伊賀忍軍当主に謁見するぞ!直に話し合い、我々の道を定める!!」
テンザン「おう!」
ヒデナダ「(ヒサナ、シュウヤ・・・私は戦争を止める!そして・・・!)」

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